AIの「プラセボ効果」の真実…AIでパフォーマンスが上がるという偏見がもたらす「まさかの結果」 

AI要約

導入が進む生成AIに関する企業の動向について紹介されている。中堅・中小企業から大手企業まで、ますます生成AIを活用したいという意向が広がっている。

生成AIの導入による効果も報告されており、人事部門や製品開発部門、マーケティング・営業部門などで効率化や売上増加に寄与している例が増えている。

生成AIの効果最大化やビジネス変革への期待も高まっており、企業は段階的な導入から本格展開へと移行している。

AIの「プラセボ効果」の真実…AIでパフォーマンスが上がるという偏見がもたらす「まさかの結果」 

 生成AIを導入する企業が増えている。企業向け研修プログラムの企画運営を手掛けるリブ・コンサルティングが今年5月に発表したアンケート調査によれば、対象となった中堅・中小企業(正社員数30名から300名までの企業)のうち、既に生成AIを業務で活用しているのは約2割とのこと。まだ少数派ではあるものの、今後の生成AIへの投資に関して、「大きく増やしていきたい」と回答したのは7.7%、「増やしていきたい」と回答したのは65.4%で、合わせて7割を超える企業が積極的な姿勢を示している。大企業以外でも、生成AIに対する関心が高まっていると言えるだろう。

 単に普及が進んでいるだけではない。導入効果を実感している企業も増え始めている。

 同じく今年5月、大手コンサルティング会社のマッキンゼーが発表したアンケート調査では、対象となった企業の65%が生成AIを定期的に使用していると答え(ちなみに2023年に行われた同調査では33%に留まっていた)、特に人事部門でのコスト削減や、製品・サービス設計開発部門でのコスト削減および業務効率化に役立っていると回答している企業が多く見られる。またマーケティング・営業部門において各種のマーケティング活動に生成AIを利用し、それが売上増加に寄与していると回答している企業も少なくない。

 また別のコンサルティング大手であるデロイトが今年4月に発表したアンケート調査によれば、調査対象となった企業の約56%が生成AIによる大幅な効率改善を期待しており、そのうち27%が既にその利益を実感しているという結果が出ている。さらに45%の企業が、生成AIによって実現されたコスト削減分を再投資する分野として、イノベーションと成長の促進に注目している。

 こうした各種アンケート結果から考えると、企業が生成AIに対して感じている問いは、「導入するかどうか」から「いつ、どこに導入するか」へ、そして「どのような効果をいつまでに出すか」へと移ってきていると言えるだろう。先ほどのデロイトのレポートでは、「生成AIの効果を最大化するために、企業はその実験段階から本格的な展開へと移行し、組織全体や機能横断的にスケールアップを図るだろう」と予測されており、さらに生成AIが「単なる効率化ツールとしてだけでなく、ビジネス変革の柱」として位置付けられるようになるとしている。