TDK社長、生成AIは「大きなインパクト」-追い風は広範囲に

AI要約

TDKの斎藤昇社長は、生成人工知能(AI)が空前のブームになる中、同社の製品需要の増加と業績向上への期待を示している。

AI半導体において、能動部品と受動部品のセットが重要であり、AIの進化が業績に大きなインパクトを与えると述べられている。

生成AIブームはTDKにとって受動部品だけでなく、他の製品にも影響を与え、中期的に業績のけん引役となる可能性がある。

(ブルームバーグ): TDKの斎藤昇社長は、文章や画像などを自動で作り出す生成人工知能(AI)が空前のブームになっていることに関連して、同社が展開する幅広い製品の需要増につながると期待でき、業績への恩恵は大きいとの見通しを示した。

AI半導体は画像処理半導体(GPU)などの能動部品と受動部品で構成され、電子回路部分には同社が扱う積層セラミックコンデンサー(MLCC)やインダクターなどの受動部品が使われる。斎藤氏は11日のインタビューで、「必ず能動部品と受動部品がセットで、GPUだけが独立で伸びていくことはない」ため、AIの進化は業績に「非常に大きなインパクトがある」と述べた。

米オープンAIの対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」が2022年に公開されて以降、世界中の企業が生成AIを自社製品やサービスに取り込む動きが加速している。米エヌビディアの製品はデータセンターGPU市場で圧倒的シェアを有し、時価総額は3兆ドル(約470兆円)を突破した。

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生成AIブームは、TDKにとって受動部品以外にもメリットが大きい。データセンターで使うハードディスクドライブ(HDD)用ヘッド、スマートフォンやパソコンなどAI機能を追加した端末で使われる電池、低消費電力に寄与するセンサーなど、「ほぼすべての事業が関係してくる」という。電子化が進む自動車も「大きなスマホ」と変わらず、AI機能とは切っても切れない関係になった。

電子情報技術産業協会が昨年12月に発表した生成AI市場の世界需要額見通しでは、30年には23年比約20倍となる2110億ドルに拡大する。多様な製品群を展開するTDKにとって、生成AIは中期的に業績のけん引役となる可能性がある。

TDKは05年に香港の電池メーカー、アンプレックステクノロジー(ATL)を買収し、スマホ市場の拡大とともに収益を伸ばしてきた。世界シェア5割を超える小型電池は稼ぎ頭だ。ブルームバーグのデータによると、米アップルや中国レノボ・グループ、小米(シャオミ)などに製品を供給する。