ADAS/自動運転用センサー、30年に約3.7兆円規模へ

AI要約

2024年までに、ADAS/自動運転用センサーの世界市場は急速に成長し、2030年には約3兆7000億円に達する見込み。

主要なセンサーとしては77GHzミリ波/24GHz準ミリ波レーダーやセンシングカメラ、リア/サラウンドビューカメラなどが挙げられる。

ADASの搭載率が高まり、ADAS用カメラの高画素化やサイド/リアへの適用が注目されており、市場の成長が期待されている。

ADAS/自動運転用センサー、30年に約3.7兆円規模へ

 矢野経済研究所は2024年6月、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転用センサーの世界市場を調査、2030年には市場規模(メーカー出荷額)が約3兆7000億円に達すると予測した。レーダーやカメラを中心に、今後も車載用センサーの需要は拡大し、2023年見込みに比べ約2.4倍の市場規模となる。

 今回の調査は、車両のフロントおよびサイド、リアに搭載されるセンサーモジュールを対象とした。具体的な製品は77GHzミリ波/24GHz準ミリ波レーダー、センシングカメラ、リア/サラウンドビューカメラ、超音波センサー、LiDAR、赤外線レーザーである。レベル4以上のMaaS車両や、人が乗車できないLSV(低速車両)向けセンサーは含まれていない。調査期間は2023年4月~2024年2月。

 2023年におけるADAS/自動運転用センサーの世界市場規模は、1兆5485億円を見込む。AEB(自動緊急ブレーキ)の標準搭載が日米欧で進んだ。中国でも搭載する車種が増えているという。

 これにより、車両前方にある物体や人を検知するADAS用レーダーあるいはカメラの出荷量が増えた。77GHzミリ波あるいは24GHz準ミリ波を用いたレーダーを含め、ADAS用レーダーの市場規模は2023年に4562億円となる見込み。センシングカメラやリア/サラウンドビューカメラを含む車載カメラ市場についても9356億円を見込んでいる。

 2024年以降もレーダーやカメラを中心にADAS用センサーの需要は引き続き拡大する見通し。ADAS/自動運転用センサーの2024年世界市場は、1兆6051億円規模と予測した。

 2030年にはADAS/自動運転用センサーの世界市場が、3兆6929億円規模に達すると予測した。その背景にはADASの搭載率がある。日米欧ではほぼ100%に達し、中国でも80%を超える。ASEANやインド向けも、2028年以降には需要が本格化する見通し。

 また、NCAP(新車アセスメントプログラム)に対応するため、レーダーの搭載数が増える見込みだという。こうした動きを反映させ、ADAS用レーダーの市場規模として、2030年は1兆940億円と予測した。さらに、2030年に向けてはE/E(電気/電子)アーキテクチャが中級車種モデルまで適用される見通しから、車両一台当たりのセンサー搭載個数が増え、市場規模の拡大を後押しする。

 矢野経済研究所は同調査レポートの中で、「ADAS用カメラの高画素化とサイド/リア適用」を注目ポイントとして挙げた。現行の量産車に搭載されるADAS用カメラの画素数は、1.7MP(メガピクセル)や5.4MPが主流となっている。これに対し今後は、8MPカメラの採用が日米欧中で本格化する。FOV(視野角)を120度にでき、安全性をより高められることが、高画素品を採用する大きな理由の1つである。

 また、レベル2アーバン(L2一般道)や高機能メモリ駐車支援システム(L2バレーパーキングアシスト)の実現に向け、フロントに加えサイドやリアにもADAS用カメラを搭載する動きが活発化しており、中長期的にADAS用カメラの出荷数量が増加すると予測した。