生田斗真のイメージをうまく利用?! 「告白 コンフェッション」山下敦弘監督インタビュー

AI要約

親友の最後の告白を聞いた男と告白した男の一夜の攻防を描いた「告白 コンフェッション」についての密室劇。山下敦弘監督がキャストの魅力を引き出す作品として話題。

登山中に遭難した親友二人の間で告白と事件の真相が明らかになり、山小屋での緊迫した状況が描かれる。

山下敦弘監督は新たな映画の挑戦として、密室劇のリスタート感やキャストの描写にこだわった作品になったと語る。

生田斗真のイメージをうまく利用?! 「告白 コンフェッション」山下敦弘監督インタビュー

死を覚悟した親友の最後の告白を聞いてしまった男と、言ってしまった男の一夜の攻防をたっぷりと詳細に描いた「告白 コンフェッション」。生田斗真、ヤン・イクチュンの日韓主演の2人がほぼ出ずっぱりの〝 怪演〟を見せるワンシチュエーションの密室劇である。「カラオケ行こ!」「化け猫あんずちゃん」と新作の公開が続く山下敦弘監督は「キャストたちの魅力をどう引き出すか、そこに特化した作品」と語った。

浅井とジヨンは親友で大学山岳部のOB。16年前、大学の卒業登山中に行方不明となり事故死とされた同級生・西田さゆりの十七回忌の慰霊登山中に、猛吹雪で遭難してしまう。脚に大けがをしたジヨンは死を確信し、16年前に自分がさゆりを殺害したと浅井に告白する。ジヨンは長く背負ってきた苦しみから解放され安堵するが、その直後、眼前に山小屋が出現し2人は命を取り留める。山小屋の中で救助隊の到着を待つ2人の間に異様で気まずい空気が流れ始める。

これまでといささかスタイルの異なる作品になった。6年前に企画の話が山下監督のもとにきた。「何年か越しで自分発信の『ハード・コア』(2018年)を終えて疲れている時だった。『マイ・バック・ページ』(11年)の後に燃え尽き症候群のようになっていた時の『苦役列車』(12年)のよう。新しいジャンルというより、次も映画が作れるという思い。もう一つ、原作の面白さに加え、プロデューサーからヤン・イクチュンさんで撮りたいという話にひかれた」

ワンシチュエーションの密室劇の経験はなく「あとで苦しむことになるが、『息もできない』やほかの作品でもイクチュンさんの存在は魅力的だった」。「リンダ リンダ リンダ」(05年)に出演したペ・ドゥナなどを通じて、韓国の俳優のポテンシャルの高さや刺激を実感していた。イクチュンにもいつか自作に出演してほしいと思っていた。

密室劇を見るのは以前から好きだった。「この映画のあり方自体が、サム・ライミ監督の『死霊のはらわた』みたいな、ワンアイデア、ワンシチュエーションを膨らませてデビューする新人監督の感覚」だったという。「もう一回、リスタートする感じも魅力だった。ワンシチュエーションで予算はないが熱量とアイデアだけで1本作る。そんな映画作りへのあこがれと今までやったことのない作風」に前のめりになった。

韓国人と日本人は原作にはない設定だったが「それ以外は密室で、展開や仕掛けで見せていく作品。今の時代の話とかを考えるプレッシャーもなかった」という。「サム・ライミ監督やジョン・カーペンターの『遊星からの物体X』を参考にしたが、刺激はもらったものの全然違うものになった」と笑顔で話した。

違うものとは何だったのか。「キャストたちをどう描くか、描けるかが僕の持ち味でもあると再認識した。自分たちなりの映画になったという気がしている。僕自身はB級ホラーと思っているが、人によってはサスペンスという人もいる。余白のある作品になった」と納得した表情で振り返った。