今くるよさん、40年前は巨人のように大柄に映ったのに…背中がやけに小さく見えた【悼む】

AI要約

約50年前に初めて「今いくよ・くるよ」コンビを見た際の思い出。

当時の印象的なビジュアルや感じた緊張、再会時の感慨を振り返る。

2人の人柄や漫才師としての魅力に触れながら、40年ぶりの再会を喜ぶ。

今くるよさん、40年前は巨人のように大柄に映ったのに…背中がやけに小さく見えた【悼む】

 初めて「今いくよ・くるよ」コンビを見たのは約50年前、筆者が4、5歳くらいの時だ。大阪市内にある母の実家が改築され、親戚や近所の人ら50人ほどを招待し、派手なお祝いの席をもうけた。飲食に加え、祝いのあいさつやカラオケなどで次々に来客が〝登壇〟するなか、盛り上げにひと役買ってもらうおうと招待されたのが若手落語家と、当時まったく無名だった「今いくよ・くるよ」の2人だった。

 いくよさんとくるよさんは漫才を披露したが、どういうネタだったかまったく覚えていない。しかし、派手なメークのいくよさんと、ふくよかな体形のくるよさんのビジュアルは強烈に印象に残った。特にくるよさんは身長160センチだったが、子どもの筆者にとっては巨人のように大きく見えた。近くを通った際に、くるよさんから「ボク、いくつ?」と尋ねられた気がしたが、緊張なのか怖かったのか、聞こえないふりをしてそそくさと逃げるように立ち去った。3年ほどたち、2人をテレビで見かけたときには「あっ」と思わず声を上げそうになった。その後、瞬く間にお茶の間でも人気となりスターへと駆け上がった2人。

 芸能担当記者となり東京で日々取材するも、関西を中心に活動するいくよさん、くるよさんに取材する機会がなかった。しかし、2015年にいくよさんが死去し、京都市内の斎場で行われた通夜の取材で、くるよさんと約40年ぶりに再会。取材に応じたくるよさんは、いくよさんについて「日本一の相方とやれて私は幸せ。まっすぐ天国に行ってほしい」と涙ぐみながら語っていた。40年の間に筆者の身長がくるよさんを上回り、子どものころ大柄に映っていたくるよさんの背中がやけに小さく見えた。

 50年間でたった2回しか会えなかったが、漫才師としてだけでなく、人柄を垣間見る機会に恵まれたのは幸いだ。できれば「どやさ」を生で聞きたかった。(近藤正規)