クリエイティブの力で世界を変える「GQ JAPAN Creative Weekend」──代官山で開催されたイベントをレポート!

AI要約

『GQ JAPAN』が初開催した「GQ JAPAN Creative Weekend」についての概要。

受賞者の作品展示やトークセッション、参加者の反応など、イベントの内容を紹介。

ファッションやアート業界が交流し、多くの来場者が訪れたイベントの様子。

クリエイティブの力で世界を変える「GQ JAPAN Creative Weekend」──代官山で開催されたイベントをレポート!

『GQ JAPAN』は「GQ JAPAN Creative Weekend」を代官山ヒルサイドフォーラムにて初開催した。5月16日にはレセプションパーティーを開催し、アンバサダーの笠松将も来場。5月18日・19日の一般公開には、多くの人が受賞者たちのクリエイションに触れた。

「GQ Global Creativity Awards」とは昨年スタートした、アートやファッション、建築など、あらゆる分野で時代を切り拓く先駆者たちを称えるプロジェクト。20の国と地域で発行される世界中の『GQ』が、各国で活躍するクリエイターを称えるものだ。今年『GQ JAPAN』では、音楽家で俳優の星野源、ドレスデザイナー兼美術作家のトモ コイズミ、建築家の石上純也、現代美術家の玉山拓郎、アーティストの浜名一憲、映画監督兼アーティストの石原海を選出した。

アワードに伴い、受賞者の中から石上純也、玉山拓郎、浜名一憲、トモ コイズミ、そして石原海の作品を展示するイベント「GQ JAPAN Creative Weekend」が代官山ヒルサイドフォーラムで開催され、レセプションパーティーやトークセッションも催された。

■5名のクリエイターのクリエイティビティが共鳴する空間

トモ コイズミは昨年9月にパリでドレスとして発表したコレクション《Dress as a painting, Painting as a dress.》をもとにしたアート作品2点と、ドルチェ&ガッバーナのサポートによる2023-24年秋冬コレクションから2点、計4点を展示した。色鮮やかな作品それぞれにシグネチャーのラッフルが施されている。

浜名一憲は日本古来からある、指先で粘土をこねる製法「手づくね」による壺を展示。浜名は「壺は一般的には“アート”だと考えられていないが、中に何かを孕んでいると思わせ、存在感がある」と言い、彫刻だと捉えている。焼き上がるまで仕上がりがどうなるかわからない、という点にも面白さを感じているという。

「自然と人工の中間」にある建築を目指す石上純也は、山口県にある住宅兼レストラン《House & Restaurant》(2022)と中国山東省の《水の美術館》(23)の模型や資料を設置。前者は地面に掘った穴にコンクリートを流し込み、その周りの土を掻き出して洞窟のような空間を出現させるという驚きの建築技法を駆使している。後者は制約の多い中国において「いかに建築と周辺環境を繋げられるか」という試み。人工湖の上にある全長約1kmにわたる建物の下には少し隙間があり、屋内にも水が流れている。

『GQ JAPAN』6月号で「世間一般の常識外の場所で生きている人たちがいるんだよということを、作品で伝えることが、少しは意味のあることだと思いたい」と語っていた石原海は、監督作品《重力の光》(2021)を上映。30年以上にわたりホームレス支援を続けている奥田知志牧師が任職する北九州市の東八幡キリスト教会をめぐるドキュメンタリーで、様々な背景を持った信徒たちのインタビューと、彼らがキリストの受難劇を演じる姿が交互に映し出される。

玉山拓郎は3作品を用い、「空間全体を一つの作品として」発表。ステンレス鋼のバーの両端にランプシェイドが付いた《The Horse Jim Saw》、パスタが滑り落ちた皿が壁にとどまっている《2 Plates with Spaghetti》、長さ7.2メートルほどある巨大なテーブルの上に置いた不自然な水面を保ったまま静止しているグラス《2 Glasses with Tilted Water》が存在する空間は、鑑賞者に感覚のずれや違和感をもたらすスペースとなった。

さらに会場には、時代を切り拓く先駆者たちを称えるプロジェクトである「GQグローバル・クリエイティビティ・アワード」のコンセプトと共鳴した、イギリスを代表するブランド、ダンヒルの展示コーナーも設けられた。ダンヒルの創業者であるアルフレッド・ダンヒルは、家業の馬具製造会社を自動車用品製造業に変貌させるなど、パイオニア精神に溢れており、まさに時代を切り拓いてきた先駆的存在といえる。会場では、英国らしい感性と真のラグジュアリーを体現した2024年春夏コレクションを、イギリスのアンティークの家具やアーカイブをまとめた書籍と共にディスプレイした。

■トモ コイズミによる次世代をエンパワーするトークショー

5月16日にはファッションやアート業界を志す学生向けにトモ コイズミによるトークセッションが開催された。ものづくりにおける信念やターニングポイントとなったNYでの初のランウェイショー、新たに挑戦しているアート制作について語ったほか、「今、ドレスを作りたいという気持ちが強くなっていて、年内に刺繍といったクチュールのテクニックを活かしたコレクションを発表したい」と明かす一幕も。さらに、自らの経験を交えながら「諦めずにオリジナリティを追求していくべき」というメッセージを投げかけた。

■ファッション業界とアート業界が交歓したレセプションパーティー

またトモ コイズミによるトークショーの後には、関係者を招いたレセプションパーティーを開催。ファッション関係者や美術関係者が交流する貴重な機会となった。トモ コイズミ、石上純也、玉山拓郎、浜名一憲も参加し、「GQ JAPAN Creative Weekend」のアンバサダーを務める俳優の笠松将と『GQ JAPAN』ヘッド・オブ・エディトリアル・コンテントの石田潤とのトークショーも行われた。

■イベントアンバサダーの笠松将と石田潤によるトークショー

ドラマ『TOKYO VICE』(2022~)で世界的な注目を浴びた笠松は、現在主に海外作品に挑戦している。この日は候補の中から自ら選んだというダンヒルのルックで登場。「普段スーツが多いので、スカーフでアクセントを付けるというスタイルは新鮮。ニットは上質で着心地が良く、背筋が伸びる感覚があります」と感想を述べた。

小中学生の頃自作の似顔絵をプレゼントして周囲を喜ばせていて、今も絵を描くことを楽しんでいるという笠松は、実際の作品やクリエイターたちとの対面に興奮したという。同じセリフでもいろいろな演じ方にトライしたいタイプということもあり、想像がつかない仕上がりを楽しむ焼き物に特に共感を覚えたという。出演作品は一般的な評価よりもスタッフの熱意に動かされて決断するといい、「どういう思いで、どういう人生を歩んで、どんな未来を描いた人の作品なのか」を知る経験は貴重だったよう。「本気で時間を使って魂を燃やすこと」が「クリエイティブ」な姿勢なのではないか、と語った。

■5月18日、19日の一般公開日にも多くの来場者が

5月18日、19日は一般公開を行い、多くの人々が来場。特に18日に行ったトークセッションは、建築と現代アートという異なる分野に携わる石上純也と玉山拓郎のトークセッションという珍しい組み合わせということで、立ち見が出るほど多くの参加希望者が集まった。

石上純也と玉山拓郎はともに環境を意識して作品を作るという点において共感する部分が大きく、玉山は「自分は絵のように美しい空間をつくろうと思っておらず、むしろ絵画的なコンポジションを崩したいと思っています。美しい風景というと山や川がある景色を想像しがちですが、石上さんの作品は、建築がランドスケープそのもので、絵的ではない景色そのものを作り出しているというところに共感するし、自分もすごく影響を受けています」と語った。このイベントが初対面だったとは思えないほどの熱がこもったトーク展開に、会場も大いに盛り上がった。

「GQ JAPAN Creative Weekend」には3日間でトータル1000名以上が来場し、来場者にはギフトも提供された。あらゆる境界線を超えて活躍するクリエイターの作品に触れ、豪華な顔ぶれによるトークセッションなど、ファッションや建築、クラフトに映像、現代アートなど日本を代表する多分野のクリエイティブが一同に会する貴重な機会となった。

「GQ JAPAN Creative Weeked」概要

■ 日時

2024年5月16日(木)

・トモ コイズミ × モデレーター栗山愛以(ファッションライター)のトークセッション

・笠松将 × 石田潤(『GQ JAPAN』ヘッド・オブ・エディトリアル・コンテント)のトークセッション & レセプションパーティー

2024年5月18日(土)

・一般公開

・石上純也 × 玉山拓郎の対談形式のトークセッション

2024年5月19日(日)

・一般公開

■ 会場:代官山ヒルサイドテラス HILLSIDE FORUM & EXHIBITION ROOM(東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドフォーラムF棟1F)

■主催:コンデナスト・ジャパン

■協賛:dunhill