ゾンビを蹴散らして真相解明&人助け! 18年ぶりに蘇る『デッドライジング デラックスリマスター』先行レビュー

AI要約

2006年に発売されたアクションゲーム『デッドライジング』のリマスター版である『デッドライジング デラックスリマスター』は、ゾンビとの戦いや生存者救出が主題となっている。

広大なショッピングモールで様々な武器を使いながら暴れる快感やコスチュームの自由度など、ゲームの要素は多彩であり、グロテスクな描写とコミカルさが絶妙に混ざり合っている。

プレイヤーは時間との戦いをしながら、ストーリーや生存者の救助を進めるか、自由気ままにショッピングモールを探索するか、異なる遊び方が可能である。

ゾンビを蹴散らして真相解明&人助け! 18年ぶりに蘇る『デッドライジング デラックスリマスター』先行レビュー

 2024年9月19日に発売された『デッドライジング デラックスリマスター』。本作は2006年にカプコンより発売されたアクションゲーム『デッドライジング』のリマスター版だ。本稿では、本作を一足早くプレイしたうえでのレビューをお届けしよう。

■地獄と化したショッピングモールでくり広げられる生存劇

 フリーランスのジャーナリストであるフランク・ウエストは、突如として封鎖されたウィラメッテという街への取材を敢行。ヘリに乗って上空から街を撮影していたフランクは、荒れ果てた街並みに加え、人が人を襲い、食らっている場面を目撃する。

 街にあった巨大なショッピングモールにたどり着いたフランクは、そこで籠城する生存者たちと遭遇し、詳しい話を聞こうとするも、バリケードが破られたことでゾンビたちがなだれ込み、施設内は地獄と化してしまう。一連の出来事の真相を確かめるため、フランクは生存者たちと協力しつつショッピングモールを調査する。というのが本作のあらすじだ。

 本作は、ゾンビを相手にいかに暴れまわるかが魅力のひとつと言える。舞台となるショッピングモールは移動するだけでもそれなりに時間がかかる広さで、遊具が揃う遊園地のような場所から、フードコートに宝石店、スポーツ用品店に工具店、噴水のある中庭など、ちょっとした街とも言えるくらいに施設が充実している。

 重要なのが、その店に陳列されている商品の一部が武器になること。銃はもちろん、カバンやサッカーボール、ゴルフクラブに皿、段ボール箱、おもちゃの剣に加えてベンチや椅子も振り回せる。本作に出てくるゾンビは基本的に弱いので、群がっているところに思い思いの武器を持って突っ込んで、片っ端から蹴散らすことも可能だ。

 とくにチェーンソーを振り回すのが快感で、前にいるゾンビたちを走りながら切り刻める。本作は頭部こそ吹き飛ばないが、代わりに腕や足、胴体が欠損する表現が日本版にも適用されており、爽快感も増している。チェーンソーによって文字通り真っ二つになるゾンビの姿は強烈だった。なお、欠損表現があるのはゾンビのみのようだ。

 ほかにも、衣服を取り扱っている店に行けば、フランクのコスチュームを自由にカスタマイズすることもできる。ゾンビをひたすら倒し続けてもいいし、コスチューム集めに奔走するのもいい。プレイ中は、偶然にも手に入れたピンク色の婦人服をまといつつ、ゾンビたちをゴルフクラブで吹っ飛ばしたり、フードコートでパンやワインを勝手に飲み食いし、窓ガラスを壊して入店したりしたが、広いショッピングモールを好きにできることの解放感と、非常事態をダシに欲望のままに暴れ回っていることで生じる背徳感のせめぎ合いが、自分の中で終始続いているのもおもしろかった。

 ゾンビが出てくるパニックものとも言える本作では、生存者は別の人間に殺されたりゾンビに食べられたりすることもあるし、さらに先述のゴア表現も相まって、人を選ぶような雰囲気のゲームではある。とはいえ、ショッピングモールにある膨大なアイテムを武器にしたり、女装したり着ぐるみ姿になってゾンビを蹴散らしたりと、コミカルかつシュールな一面を持っているのも事実で、それが結果的に本作をマイルドにしているようにも感じた。

■真相解明か人助けか、あるいはゾンビ相手に無双するか?シビアなスケジュール調整も刺激的

 今回筆者がプレイしたモードである「72HOUR MODE」は、ショッピングモールに降り立ったフランクを操作して3日間生き延び、その後やってくるヘリで生還するというもの。それまでは、ゾンビで街があふれかえるという大惨事の究明、ショッピングモール内にいる生存者の救出、特定の場所で発生した異常の対処と、多彩な目標がリアルタイムで出現するので、それらに対処することになる。

 重要なのは、プレイヤーがショッピングモールのどこにいようと、時間は刻一刻と過ぎていくことだ。メインストーリー的な立ち位置である「CASE FILE」や、ショッピングモール内で時おり発生するサブイベントのような「SCOOP CUE」はすべて時間制限付きで、提示された目標を守れないとCASE FILEすら中断され、以降メインストーリーは進められなくなってしまう。

 とはいえ、CASE FILEもSCOOP CUEも、クリアするかどうかはプレイヤーに委ねられている。CASE FILEでは本作の核心に迫るストーリーが展開するが、未達でもゲームオーバーにはならず、セーブデータをロードして現在より前に戻るか、あるいはそのままプレイを続行するかを選べる。そのまま続けるなら、CASE FILEは無視してSCOOP CUEに専念したり、ひたすらゾンビを倒し続けたりしても、手にしたカメラでショッピングモール内を撮りまくるのもいい。飢えや渇きといった要素もなく、生存者の救出も任意なので助けずともペナルティはない。極論で言えば、なにもせずとも3日目を迎えられる。

 気ままに3日間過ごすのもアリだが、CASE FILEとSCOOP CUEを並行して進めようとするともっとおもしろくなる。スローライフ的な要素は消えて、今度は時間と自身の腕前を考慮してスケジュールを組みながら、ゾンビの蔓延する理由の解明と生存者の救出のためにショッピングモール内を駆けまわる、シミュレーションゲームでありそうなシビアなスケジュール管理が加わってくる。

 こうなると、距離の近い目標地点から先に向かったり、複数の目標が集まっているならまとめてこなしたり、限られた時間をいかに効率的に使うかが重要だ。滞りなく進むのなら結構だが、道中にはおびただしい数のゾンビがいるだけでなく、なかにはボス的な存在である「サイコパス」との戦闘になる場合もある。さらに自分の持っている武器によって戦い方も変わるし、苦戦すれば時間も食う。そうなれば、当然ながら組んでいたスケジュールも狂い始めるだろう。スケートボードで施設内を滑って移動したり、チェーンソーのような強力な武器を使って敵を蹴散らしながら最短距離を進むなど、状況を巻き返すための方法はさまざまで、自分なりの打開策をリアルタイムで考えていくのも本作の醍醐味だ。

 ゾンビが出てくるパニックものと言える本作は、ゴア表現もあって人を選ぶ作風ではあるものの、多彩な武器を使ってゾンビを蹴散らす爽快なアクションや、豊富なコスチュームによるコミカルさなどもあって、単なるグロテスクなゲームではない。自由度も高く、施設を巡ったりゾンビを倒し続けたりして気ままに過ごすか、時間と闘いながらストーリーを進めたり生存者を救うという、両極端とも言える遊び方が用意されている点も魅力的と言える作品だ。