なぜ、『フリーダムウォーズ』リマスター発表が盛り上がる?『モンハン』抜きで苦戦したPS Vita待望の“共闘”作品が、新たな一歩を刻む

AI要約

2024年9月18日、家庭用マルチプレイACT『FREEDOM WARS Remastered』が電撃発表されました。本作は、PlayStation Vita専用ソフトとして発売された『FREEDOM WARS(フリーダムウォーズ)』のリマスター版となります。

『フリーダムウォーズ』の強烈な世界観や独自性、共闘要素がゲームファンを魅了し、話題となりました。

『フリーダムウォーズR』の発売や改善点、可能性に期待が寄せられ、いかなる展開が待ち受けるのか注目されています。

なぜ、『フリーダムウォーズ』リマスター発表が盛り上がる?『モンハン』抜きで苦戦したPS Vita待望の“共闘”作品が、新たな一歩を刻む

2024年9月18日、家庭用マルチプレイACT『FREEDOM WARS Remastered』(以下、フリーダムウォーズR)が電撃発表されました。本作は、PlayStation Vita専用ソフトとして発売された『FREEDOM WARS(フリーダムウォーズ)』のリマスター版となります。

この発表はゲームファンの一部から関心を集め、一時期はXのトレンドに「フリーダムウォーズ」や「Vita」、「懲役100万年」といった関連ワードが上位に食い込むほどでした。突然の発表とはいえ、なぜ『フリーダムウォーズ』がここまで大きな話題となったのでしょうか。

■強烈な世界観でゲームファンを魅了

2014年に発売された『フリーダムウォーズ』は、かなり個性的な作品でした。特に、その世界観には多くのユーザーが注目しました。

『フリーダムウォーズ』の舞台は、資源が枯渇した近未来の世界。生物がまともに生存できる環境ではなくなり、人々はそれぞれの都市(パノプティコン)に身を寄せ合い、必死に生き残る術を求めます。

パノプティコンでは厳しい管理社会が蔓延し、人間は「生きているだけで資源を消費する存在」と定義されます。その結果人々は、“生まれたことが罪”との解釈から、生まれた瞬間に「懲役100万年」の罰を追う罪人──“咎人”として生きることになります。

“咎人”に人間らしい権利はほとんど与えられず、ゲーム開始直後では「平時に5歩以上歩くことを禁止」「5秒以上走るのは禁止」「異性との会話は禁止」など、生活どころか生存にも影響を及ぼすほど、厳しい制限が課せられています。

この制限を少しでも軽減するには、「ボランティア」に参加し、功績を上げなければなりません。その功績によって禁止事項が少しずつ緩和され、人間らしい生活にわずかながら近づくことができます。

ただし、本作における「ボランティア」は、単純な労働を意味する言葉ではありません。「アブダクター」と呼ばれる生体兵器に立ち向かったり、敵対勢力の“咎人”を一掃したりと、命の危険を伴う戦闘行為を、この世界では「ボランティア」と呼びます。

誰もが「懲役100万年」を背負わされ、命がけで「ボランティア」を行い、生き延びて得られるわずかな功績でようやく今が手に入る。そんな『フリーダムウォーズ』の世界観は非常に刺激的で、ユーザーの関心を大いにかき立てました。

■“共闘”を求めるユーザーの心に「茨」を打ち込んだ『フリーダムウォーズ』

『フリーダムウォーズ』が当時話題となったのは、他の追従を許さないほどの過酷な世界観と、そこから生まれる物語がどのように展開し、いかなる結末に辿り着くのか──そうしたストーリーへの期待が、大きな要因となりました。

しかし、それだけが理由の全てではありません。本作のゲームジャンルは、いわゆる「TPS視点のアクション」ですが、他の作品にはない独自性として、「茨」と呼ばれるワイヤー状の装備を駆使する高速移動により、立体的な移動や多角的な攻撃を可能としました。

また、当時は“共闘(マルチプレイ)”できるゲームが話題になっており、『GOD EATER 2』や『SOUL SACRIFICE』、『討鬼伝』なども注目を集めていました。

PS Vitaの前世代機「PlayStation Portable」では、『モンスターハンター』のポータブルシリーズが人気を博し、多くのユーザーはPS Vitaへの進出を待ち望みました。ですが、携帯ゲーム機向けの『モンハン』はニンテンドー3DSへと移り、PS Vitaユーザーは『モンハン』以外の共闘ゲームを強く求めていました。

そうした時代に登場した『フリーダムウォーズ』は、協力プレイ時は最大4人、対戦時は最大8人のマルチプレイを提供。さらに、47都道府県別で貢献度を競い合うという、ユニークなランキングバトル「都市国家対戦」を展開するなど、共闘ゲームとしての独自性も打ち出し、唯一無二の存在として確立します。

■問題点も抱えていたからこそ、リマスターで高まる期待

個性的で関心を引く世界観、「茨」による立体的な機動、共闘ゲームとしての広がりと、『フリーダムウォーズ』は様々な魅力を備えていました。しかし本作は、全面的に手放しで褒められるゲームとは決して言えません。

従来のTPSアクションに、「茨」という独自性が加わったため、操作の一部が煩雑となりました。そのため操作には慣れや習熟が求められ、誰でも快適に遊べるシステムではありません。せめてL、Rボタンが、現行機のように2つずつあれば、快適さは大きく変わったことでしょう。

また、特徴的な世界観や、先が気になる物語の構築に成功した一方、その結末は物足りず、未消化の伏線も残った幕切れを迎えました。当時、ストーリーを追加した完全版のリリースを望む声も多かったものの、その望みも叶うことなく、潰えてしまいます。

このように、『フリーダムウォーズ』は残念な点や心残りもあった作品でした。しかし、ただ評価が低いだけの作品なら、リマスター化の発表が話題になるわけがありません。

過酷極まる世界観、「茨」による戦闘、ユニークな共闘体験、「懲役100万年」の先に待ち受けるもの。そうした魅力と、問題点がリマスターで改善される期待が相まって、今回トレンド入りを果たすほどの盛り上がりに至ったのです。

■『フリーダムウォーズ』は、新たな1歩を踏み出せるのか?

今回のリマスター化で、ファンの望みが実際に叶いそうな部分は大いにあります。PlayStation.Blogの試遊レビュー&インタビュー記事によれば「テクスチャやムービーの高解像度化」、「PS5版は4K対応」、「フレームレートは、PS5版とPS4版のどちらも60fpsに対応」、「ゲームバランスを調整」、「カスタム画面では、ボタンの割り当てを自由に変更」などが明示されており、当時プレイしていたユーザーほどこうした改善には心が躍るはず。

ストーリーについては、「今回は原作をなるべくいじらないようにしました」と開発陣がコメントしており、物語面は据え置きとなる模様です。ただし、「新しいストーリーは、続編を作るときのチャンスにかけることにしました」とも言及しています。

つまり、今後の展開次第では、続編やDLCでストーリーが補完される可能性もゼロではありません。しかしそのためには、リマスターされて復活する『フリーダムウォーズR』のヒットが必要不可欠と思われます。

PS5/PS4ソフト『フリーダムウォーズR』は、2025年1月9日に発売されます。その先に新たな展開が訪れるのかどうかは、本作の盛り上がり次第。『フリーダムウォーズ』のその後が知りたい人は、まず『フリーダムウォーズR』に注目しましょう。

(C) Sony Interactive Entertainment Inc. and Dimps Corporation. FREEDOM WARS is a registered trademark of Sony Interactive Entertainment LLC and related companies in the United States and other countries.

Published by Bandai Namco Entertainment Inc.

※画面は開発中のものです。