【週末映画コラム】『トランスフォーマー/ONE』/『あの人が消えた』

AI要約

トランスフォーマーが暮らすサイバトロン星の地下都市で、オプティマスプライムとメガトロンの友情と対立が描かれる。

地上世界への冒険、トランスフォーム能力の起源、3DCGで描かれる若き日の物語。

人間が登場しない新しいアプローチ、懐かしさ漂うアール・デコと史劇映画からのインスピレーション。

【週末映画コラム】『トランスフォーマー/ONE』/『あの人が消えた』

『トランスフォーマー/ONE』(9月20日公開)

 ロボット生命体トランスフォーマーが暮らすサイバトロン星の地下都市。変形能力を持たない労働ロボットのオプティマスプライム(オライオンパックス/声:クリス・ヘムズワース)とメガトロン(D-16/声:ブライアン・タイリー・ヘンリー)は固い友情で結ばれ、いつの日かヒーローになることを夢見ていた。

 ある日、謎のSOSメッセージを発見した2人は、仲間のバンブルビー(B-127/声:キーガン=マイケル・キー)やエリータ-1(声:スカーレット・ヨハンソン)と共に、侵入を禁止されている地上世界へ向かう。

 そこで恐ろしい陰謀の存在を知った彼らは、新たに授かった変形能力を使って危機に立ち向かうが、オプティマスプライムとメガトロンとの間に対立が生じる。

 「トランスフォーマー」シリーズの始まりの物語を3DCGで描くアクションエンターテインメント。トランスフォーマーたちの故郷であるサイバトロン星で繰り広げられる戦いを背景に、若き日の彼らの友情とトランスフォーム(変形)能力の起源を描く。監督は『トイ・ストーリー4』(19)のジョシュ・クーリー。

 これまでの「トランスフォーマー」シリーズは、彼らと人間との関りが描かれてきたが、この映画には人間は一切登場しない。あくまでもトランスフォーマーたちの視点で描かれるところが目新しい。

 オプティマスプライムとメガトロンの関係は、旧約聖書に登場する対立する兄弟カインとアベルにならい、彼らが子どもだった頃にめぐり会わせて、「トランスフォーマー」シリーズで『スタンド・バイ・ミー』(86)をやってみるというコンセプトだったらしい。

 また、一見、最新の3DCGによるメカニックな絵に見えるが、地下都市は、アール・デコと大恐慌後の1930年代の豪華さを参考にし、そこに80年代のテクノロジーを取り入れた建築物を入れ込んだのだという。それ故、どこか懐かしさを感じさせるような雰囲気が漂うのだ。

 加えて、『十戒』(56)『ベン・ハー』(59)『スパルタカス』(60)『アラビアのロレンス』(62)などの史劇映画からも大きなインスピレーションを得たという。その点で、温故知新ともいえる映画になっているのも見どころだ。