「3年目の浮気」ヒロシ&キーボー黒沢博さん死去 昭和から平成にかけ歌謡曲系の男女デュオ活躍

AI要約

ヒロシ&キーボーのボーカル黒沢博さんが亡くなり、男女デュオの活躍について振り返る記事。

昭和から平成にかけて、フォークソングや演歌・歌謡曲系の男女デュオが活躍し、夫婦デュオも多かった。

最近は男女の音楽ユニットが活躍する中、男女デュオのヒット曲が生まれにくい状況になっている。

「3年目の浮気」ヒロシ&キーボー黒沢博さん死去 昭和から平成にかけ歌謡曲系の男女デュオ活躍

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

 1982年(昭57)に「3年目の浮気」が大ヒットしたヒロシ&キーボーのボーカル黒沢博さんが9月6日に亡くなった。75歳だった。俳優で歌手の実兄・黒沢年雄(80)が翌7日に、ブログで公表した。関係者によると死因は慢性骨髄性白血病だったという。

 キーボーこと山田喜代子と歌った「3年目の浮気」は、浮気した男性と責める女性とのやりとりがコミカルに描かれた。84年にコンビを解消したが、今もカラオケで歌われる定番デュエット曲だ。ちなみに作詞作曲した佐々木勉(べん)氏は、ロス・インディオス&シルヴィアの「別れても好きな人」も手がけた。

 昭和から平成にかけて、フォークソングや演歌・歌謡曲系の男女デュオが活躍した。

 68年に出門英さんとイタリア出身のロザンナで結成されたヒデとロザンナは、「愛の奇跡」「愛は傷つきやすく」などが大ヒットした。75年に結婚し、夫婦デュオのさきがけとなった。70年に第21回NHK紅白歌合戦に白組で初出場した際、紅組の対戦相手は同じく男女デュオのトワ・エ・モアだった。

 白鳥英美子と芥川澄夫で68年に結成されたトワ・エ・モアはフランス語で「君と僕」の意味。「或る日突然」「虹と雪のバラード」などがヒットした。73年に解散したが、その後、活動を再開している。

 「てんとう虫のサンバ」や「白いギター」のヒットで知られるチェリッシュ(松井悦子、松崎好孝)も、77年に結婚して夫婦デュオとして今も活動している。71年の結成当時は5人組だった。チェリッシュは英語で「大事にする」の意味。

 73年に結成されたダ・カーポ(久保田広子、榊原まさとし)は、「結婚するって本当ですか」(74年)がヒット。80年に本当に結婚した。現在は娘のフルート奏者・榊原麻理子も活動に参加している。ダ・カーポは「曲の始めに戻る」という音楽用語。

 夫婦ではないが、外国人の男女デュオでは、ヘドバとダビデが活躍した。イスラエル出身の2人で、70年の第1回東京国際音楽祭でグランプリを獲得した「ナオミの夢」がヒットした。「ナオミ」は日本人の名前ではなく、ヘブライ語で「幸せ」の意味という。

 他の男女デュオでは、「昭和枯れすすき」(74年)がヒットしたさくらと一郎(徳川一郎と初代は山岡さくら)。「麦畑」(89年)がヒットしたオヨネーズ(長田あつしさん、杏しのぶ)。「冬のファンタジー」(95年)で知られ、いとこを意味するデュオのカズン(古賀いずみ、漆戸啓)などがいる。

 男女のデュエット曲では「銀座の恋の物語」(石原裕次郎・牧村旬子)「東京ナイト・クラブ」(フランク永井・松尾和子)「カナダからの手紙」(平尾昌晃・畑中葉子)「ふたりの愛ランド」(石川優子&チャゲ)「居酒屋」(五木ひろし・木の実ナナ)など数多くのヒット曲があるが、いずれもデュオとして活動していたわけではない。

 今はYOASOBIやヨルシカなど男女の音楽ユニットが大活躍しているが、「3年目の浮気」のような男女デュオのヒットは生まれ難い時代になってしまったようだ。【笹森文彦】