AIは良質な映画を作れるのか?ベネチアで「AI映画祭」開催

AI要約

イタリア・ベネチアで開催されたAIを使用した短編映画コンテスト「リプライAI映画祭」について。主催者や審査員のコメント、受賞作品に関する内容が含まれる。

AI技術が映画制作における可能性を広げる一方、俳優や作品の未来についての懸念も生じている。

映画祭で最優秀賞を獲得した作品『To Dear Me』についての詳細や、AI技術の今後の展望について述べられている。

AIは良質な映画を作れるのか?ベネチアで「AI映画祭」開催

「合成された物語、人間の心」をテーマに、人工知能(AI)の革新的な使用と、物語の描写の質が評価される短編映画コンテスト「リプライAI映画祭」がイタリア・ベネチアで開催された。本家ベネチア映画祭の期間中に開催されたこの映画祭は、今後映画界に波紋を広げる可能性がある。

この映画祭を主催した、AIとデジタルメディアを扱う国際コンサルティンググループ「リプライ」の幹部は次のように話す。

映画祭を主催 フィリッポ・リッツァンテさん

「これらの技術が、例えば良い物語や良いコンテンツを生み出すために正しく使用できるかどうかは、まだわかっていない。人類として、私たちは依然としてヒーローや、何らかの形で体現する人物などを必要としており、正直これは変わらない。変わるのは私たちがコンテンツを制作し、配信し、消費する方法だ」

リッツァンテさんは当初、パートナーを見つけるのに苦労したという。「ほとんどの人に『ノー、ノー』と言われたよ。明らかに業界全体が心配する移行期だからだ」

この映画祭の審査員を務めた、「ライオン・キング」や「スチュアート・リトル」の監督ロブ・ミンコフさんは、この技術はアーティストにとって新しいツールとして捉えられるべきだと話す。

審査員 ロブ・ミンコフさん

「これまで不可能だったことをAIを使えば実現できるという点で、大きなチャンスをもたらすと思う。他の方法では考えられない、あるいは不可能なことができる。だから自然と進化を遂げていくと思う」

AIは、昨年起きたハリウッドのストライキにおいて主要な懸念事項だった。俳優たちはAIによって肖像権が奪われたり、出演できる役柄が減ることを恐れていた。さらに完全にAIが作り上げた俳優、いわゆる「メタヒューマン」俳優の登場を懸念する声もある。

映画祭は今月3日、両親の離婚後の若い女性の苦悩を描いたジゼル・トン監督の『To Dear Me』に最優秀賞を贈った。

リッツァンテさんは、この技術は今後も存続する可能性が高いと話す。「何事においても移行期はそうであるように、抵抗する人も必ずいるし、熱狂的な支持者もいる。しかしそれは津波のようなものだ。止めることはできない」