トロント国際映画祭:リチャード・ギアとポール・シュレイダー監督、44年ぶりのコラボ

AI要約

1980年に痺れさせた『アメリカン・ジゴロ』のリチャード・ギアとポール・シュレイダーが44年ぶりにコンビを組み、ラッセル・バンクスの小説『Foregone』を映画化した『Oh, Canada』が登場。

主人公レオナード・ファイフはアメリカ東海岸生まれの男性で、若い頃にベトナム戦争の従軍でカナダに移住し、ドキュメンタリー映画監督として成功するが、80代の高齢者という現在の姿で描かれる。

レオナードの過去の女性関係について告白し始めることで心が揺れる妻エマを演じるのはユマ・サーマン。ジェイコブ・エロディが若い頃のレオナードを演じ、映画はカナダの映画祭で上映されるエンディングを迎える。

トロント国際映画祭:リチャード・ギアとポール・シュレイダー監督、44年ぶりのコラボ

リチャード・ギアが『アメリカン・ジゴロ』で世界を痺れさせたのは、1980年。この映画の監督兼脚本家ポール・シュレイダーも、当時『タクシードライバー』(1976)の脚本家として大きな注目を集めていたところだった。それから44年、このふたりがついにまたコンビを組んだ。その映画のタイトルは、『Oh, Canada』。

原作はラッセル・バンクスが2021年に出版した小説『Foregone』。脚色はシュレイダーが行った。ギア演じる主人公レオナード・ファイフは、1940年代前半、アメリカ東海岸に生まれた男性。ベトナム戦争の従軍の理由もあり、若い頃にカナダに移住した彼は、それまでの経歴とはまるで違うドキュメンタリー映画監督として名を馳せることになる。

映画のはじめに出てくる彼は、重病に苦しむ80代の高齢者。現在の妻エマやケアテイカーのお世話になっている彼は、昔の教え子が監督する自分についてのドキュメンタリーに出演を承諾する。エマは夫を守るべくそばにいるのだが、そのうち夫が聞いたことがなかった過去の女性関係について告白し始めると、心が動揺。

エマを演じるのは、ユマ・サーマン。若い頃のレオナードを、『プリシラ』でエルヴィス・プレスリー役を務めたジェイコブ・エロディが演じる。若い時代のシーンにも時折ギアが出てきたりなどしつつ、レオナードの混乱する記憶がさまざまな形で反映されていく。

タイトルはもちろんのこと、エンディングもまさにカナダの映画祭で上映されるにふさわしいもの。ギアは近年ご無沙汰な印象があるが、実際には小さな映画に出てきている。

カンヌで世界初上映し、トロントで北米初上映されるという華やかなデビューをした今作で、彼は再び業界人の話題に上るだろうか。

文=猿渡由紀