『フェイクドキュメンタリーQ』村田らむ×寺内康太郎対談「“答えは1つではないのでは?”と我々の想像も続いています」

AI要約

モキュメンタリ―ホラーが人気を集める中、行方不明展で展示映像監督を務めたYoutubeチャンネル『フェイクドキュメンタリーQ』の寺内氏が注目を浴びる。

タワーレコードでの新作上映会&サイン本お渡し会には120名以上のファンが集まり、Qの怖さや魅力について話題に。

Qはノンフィクション作品を参考にしており、リアルなオチのなさが特徴で、現実の不条理さを大事にしている。

『フェイクドキュメンタリーQ』村田らむ×寺内康太郎対談「“答えは1つではないのでは?”と我々の想像も続いています」

 今夏、エンタメ界を席捲した「モキュメンタリ―ホラー」。虚構と現実の境目があいまいな“恐怖”は多くの人の興味を引いた。

 なかでも9月1日まで東京・三越前福島ビルで開催された『行方不明展』は大盛況だった。

 そんな行方不明展で展示映像監督を務めたのは話題のYoutubeチャンネル『フェイクドキュメンタリーQ』の寺内康太郎氏。同チャンネルが著書化された同名書籍『フェイクドキュメンタリーQ』は累計発行部数6万部のヒットを記録している。

 登録者数30万人、動画再生数100万回超えの動画もある人気チャンネル『フェイクドキュメンタリーQ』(以下、Q)を書籍化した単行本の発売を記念して、先の8月4日夜、タワーレコード錦糸町パルコ店で「新作上映会&サイン本お渡し会」が開催された。

 閉店後の店内イベントスペースには、通常の定員を遥かに超える120名以上が来場し、ファンの熱気が溢れ返る中、同日0時に公開されたばかりの新作動画『MOTHER』の上映会が行なわれた。

 新作動画上映後は、満場の拍手に迎えられながら、Q制作メンバーの一人である前述の寺内氏と、ゲストとしてルポライター・漫画家で、ホームレス、特殊清掃、樹海などへの潜入取材を得意とし、著書『樹海怪談』やYouTubeチャンネル『リアル現場主義』も人気の村田らむ氏がステージに登壇。

 2人による対談トークショーが行なわれ、Qの怖さと人気の秘訣、書籍ならではの魅力について語り合われた。

村田らむ:(以下、らむ) 今日の動画は、書籍に収録されたものを先に読んでいましたが、映像は今日初めて観ました。書籍で読むと登場する男性の言っていることがそのまま受けとめられたのに、映像で観ると「あれっ…!? ちょっとおかしなこと言ってるぞ」と感じて、同じ内容なのに違いがありましたね。

寺内康太郎:(以下、寺内)男性がどんどん変に思えてきますよね。かわいそうな人かと思ったら、どうもそれだけではない……という感じが。

らむ:僕が取材をしているときも、それを感じることがありますね。最初は普通に思えた人が、急に偏った思想であることがわかったりして。

寺内:男性が変なことを言っているように思えますが、それも視聴者の主観なんですよ。男性がデタラメなことを言っているように思えても、実は部分的には的を射ていたり、真理を突いているかもしれない。

 もしかすると本作を、「考察する視聴者を揶揄しているのではないか」と誤解する人もいるかもしれませんが、そんなつもりは全くありません。今回はより詳しい考察を書籍へ収録するために、分析や考察をしているファンの方々の協力を得て、「ここにどんな意味が込められていると思うか」を本当に分析・考察してもらいました。

らむ:Qはオチをつけないのが面白いんですよね。

『発見されなかった友人の遺品』という動画ありますよね。私も樹海に取材に行くんですが、本当にいろんな遺品が見つかります。音楽テープやレコーダーなんかもあって、最期に聴いていた曲がわかるんですが、荘厳なクラシックの時もあれば全曲サザンオールスターズだったこともあって、確かめるまで何が収録されているか分からないんです。

 Qのリアルさは、何かノンフィクションとかドキュメンタリーを参考にしているんですか?

寺内:もちろんしています。Qのメンバー4名は全員ノンフィクション作品は好きですよ。らむさんは取材しているので実感すると思うのですが、現実ってオチがつかないのが当たり前じゃないですか。そこは大事にしたいんです。

らむ:今後もチャンネルをどんどん続けていく予定なんですか?

寺内:あと4作でセカンドシーズンが終わるんです。まずはそこをめざしていて、その後のことはあらためて考えようかと思ってます。