藤子・F・不二雄先生に“文句連発”で連載が終了 一世風靡した漫画家が語る師匠の素顔

AI要約

藤子スタジオでアシスタントを務めたえびはら武司先生が、藤本弘(藤子・F・不二雄)と安孫子素雄(藤子不二雄A)両先生から受けたエピソードを語る。

学生時代から藤子先生の作品を愛し、藤子スタジオへの入り口を探し、結果的にF先生から電話を受け入れられたことや、アシスタントとしての経験を振り返る。

藤子スタジオでの経験を通じて、藤本弘先生の人柄や指導スタイルに触れ、直接教えを受けることは少なかったものの、穏やかな性格やアドバイスの風景に触れる。

藤子・F・不二雄先生に“文句連発”で連載が終了 一世風靡した漫画家が語る師匠の素顔

『まいっちんぐマチコ先生』でおなじみのえびはら武司先生(69)は、かつて藤子スタジオでアシスタントを務め、藤子・F・不二雄(=藤本弘)と藤子不二雄A(=安孫子素雄)両先生に師事した漫画家だ。近くで見続けていたからこそ語ることのできる、藤本先生と安孫子先生とのエピソードを教えてくれた。

 漫画家を志していたえびはら先生は高校卒業後、まもなくして、藤子スタジオの門をたたいた。

「藤子先生の作品が大好きだったんです。どうせならいい先生のところで働きたいと思って、電話をしたんです。そんなに苦労なく入れちゃいましたね(笑)。ちょうど人が辞めるタイミングと重なって運が良かったんです。初めて電話をしたときもF(=藤本)先生が出てくれました。ボソボソとしゃべる愛想の良くないおじさんが電話に出たなと思ったら最後に『藤本です』って言われてびっくりでした(笑)。

 12時に電話かけると迷惑かなと思って、1時を過ぎたころに電話したんです。後から分かったんですけど、藤子スタジオは13時ごろがお昼休みでね。みんなが外食する中、F先生だけは、奥さんのお弁当を食べるんですよ。だから部屋に先生しかいないタイミングだったんですよね。

 僕のときは、人がいないんで入れてやるよぐらいのノリでしたね。先生のところは、あまり絵のうまい下手は関係なかったみたいです。『絵は描いてりゃうまくなるよ』って(笑)。むしろ人間性とかを重視していたみたいですよ。僕の後に入った人は『野球できます』と言ったら入れたみたいです。野球チーム作ってるから1人ピッチャーが欲しかったとか言ってたね(笑)」

 初めて担当した作品は『ジャングル黒べえ』だった。その後に『ドラえもん』などを描くようになっていった。意外にも直接教えてもらう機会は少なかったと明かす。

「『これやって』って感じで原稿を渡してくれるんです。絵の描き方はチーフアシスタントの方に教わることが多かったですね。でも、僕は座席的にF先生の目の前で仕事をしていたので、たまに直接聞いたりもしていました。アドバイスは適当でした(笑)。『いいんじゃない、それで』みたいな。あまり細かいことは言わない人でしたね。とても穏やかないい人でしたね」