これからの「強さ」は外ではなく「中」にある?『シャーマンキング』武井宏之氏が語る【インタビュー後編】

AI要約

新章『SKY』では、ニュートランスという新たなテーマが登場し、外からの強さではなく内からの強さを探求する展開が期待される。

物語は神や世界を自ら作り出す力に焦点を当て、子供たちや若い世代が直面する問題に対して新しい力で対抗する姿が描かれる。

武井先生は『SKY』を通じて少年マンガらしい作品を描きたいと語るが、子供たちに対する期待や彼らが新しい世界を創造していく可能性が背景にある。

これからの「強さ」は外ではなく「中」にある?『シャーマンキング』武井宏之氏が語る【インタビュー後編】

「SHAMAN KING」シリーズ原作者・武井宏之先生のインタビューをお送りしています。今回は後編として、最新作『SHAMAN KING THE SUPER STAR』に続く新章『SHAMAN KING YARD』(SKY)について、詳しくお聞きしました。

(取材・執筆:タシロハヤト/編集:マグミクス編集部。講談社編集担当のY田氏にも同席いただきました)

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――新章となる『SKY』では、歴代シャーマンキングが指名したシャーマンたちによる戦い「フラワー・オブ・メイズ」が描かれると以前からおっしゃっていました。2024

年8月24日から連載再開する『SUPER STAR』のネームが最終回まで完成した現状で、何かもう少し話せることはあるでしょうか?

武井宏之(以下敬称略) 「ニュートランス」かな。ニュートランスっていう新しい要素が出てきて、やっぱりそこに僕が伝えたいテーマが存在するんですね。これまでの世界って「強さ」っていうものをみんな外に求めてたんですよ。偉大な名前であるとか、強い武器であるとか、権威とかそういったものにみんな依存していたんじゃないか。

 でも本当の強さとか本当の神というのを探っていったときに、「外じゃないよ」と。世界も今変わりつつあるじゃないですか、いろんな認識に基づいて。「外に頼っていた状態」から、これからは個人単位で「自分が強くなるんだ」っていうふうに移っていくんだと思うんです。そこに明快な言葉を与えていけたらと思ってます。

――それが『SUPER STAR』のなかで道黽(タオメン)が言っている「神は自分の中にある」「世界は自分が作り出している」と関わってくるわけですね。彼の認識はこれまでのところニュートランスの核心となる概念だと思いますから、それが『SKY』ではよりはっきりと描かれることになるんですね。

武井 そういうことです。

――そういったテーマがマンガやエンタメ作品として描かれるのはあまり例がないと思います。すごく楽しみですね。世の中を見渡すと、子供や若い世代が搾取されるということが現実に起こっているし、それに手を差し伸べる人も出始めてはいるけれども、まだまだ足りないのが現実だと思います。そういう世界を彼ら自身がどう乗り越えるのか? となったとき、確かに暴力とか権力とかそういうものではもう対抗できなくなっていて、別の何かで解決する力が必要なんじゃないかと思います。

武井 子供たちってかなり賢いですよ。これからの子供たちは僕らが何か言ったりやったりする前に、自分で気付いて新しい世界を作っていくんじゃないかという気がします。そこに僕は希望を持ってて。親の世代がテレビとか広告とか大きいものにのみこまれていたことに、最近になってやっと気付いてきた。そういうのを見た子供たちは、自分たちでなんとかしなきゃってなりますよ。

――昨年のインタビューで『SKY』は少年マンガらしいものを描きたい……と話されていて、先ほど(インタビュー前編参照)も、改めてそれをしっかりやりたいと仰っていましたが、それは子供たちへの期待が入っているからこそ、ということになりますか?

武井 あー、それはそうだけど、そこはちょっと難しくてですね……悩んでいます。