ダッドコアの達人、アダム・サンドラーはZ世代のスタイルアイコン?

AI要約

アダム・サンドラーのファッションスタイルがZ世代に影響を与えているが、彼の独特な魅力は真似が難しい。

サンドラーコアと呼ばれるサンドラーの自然なスタイルは、他者が再現するのは難しいが、多くの人が彼のファッションを模倣している。

サンドラーのファッションは努力を感じさせず、ありのままの姿に自信を持つことの重要性を教えてくれる。

ダッドコアの達人、アダム・サンドラーはZ世代のスタイルアイコン?

ハリウッドの意外なファッションアイコン、アダム・サンドラーの無造作なスタイルを大勢のZ世代が真似しようとしている。しかし、サンドラーではない私たちが彼のファッションを真似ようとするとき、努力が逆に足枷になることもある。

今月初め、アダム・サンドラーがニューヨークの公園でバスケットボールをしているところがキャッチされた。そのときの彼の服装が、すぐさまインターネット上のムードボードを賑わせたのは容易に想像ができる。サンドラーは、横縞が入ったオーバーサイズのポロシャツに、アディダスによる縦縞のショートパンツ、アンダーアーマーの「カリー11」バスケットボールシューズを合わせていた。お洒落なハイプシューズではなく、パフォーマンス志向の本格派である。

それにしても、サンドラーによる“アダム・サンドラー・スタイル”は、さすがは本人といったところだ。彼のエフォートレスで自然な無関心さは、“サンドラーコア”がファッションの主流になったとしても、他者による再現は不可能かもしれない。

冗談のような話だが、セレブリティ・ワーストドレッサーの1人として何年にもわたって嘲笑され続けてきたサンドラーは、今や唯一無二のスタイルアイコンとして頭角を現している。彼のビッグシャツ、ビッグショーツ、ミスマッチな柄を、Z世代が“あえて”という皮肉なスタンスなしに取り入れているのだ。いや、もしかしたら皮肉が強すぎて、ある種の歪んだ真摯さに一周して戻ってきただけなのかもしれない(これを判断するのは難しい)。

彼の気取らないダッドコアの影響の痕跡は、このところメンズウェアのあらゆる場面で見られる。米版『GQ』編集部も最近、ジョーツ(デニムのバミューダショーツ)に夢中だ。かつてはタブー視されていたジョーツのようなワードローブアイテムを開拓したのはサンドラー(ついでにジョン・シナも)ではない、と言ったら嘘になるだろう。

■ありのままの姿に漲る自信

しかし、2XLの吸汗速乾ポロシャツを求めて地元のチャリティショップに通い、古いAND1のバスケットボールショーツをeBayで探し回る私たちも、そろそろ“王”にもっと敬意を払うべきだろう。真のサンドラーコアとはアダム・サンドラー本人だけが難なくこなせるものであり、彼があくまで無関心でいる一方、我々は彼のように着こなしたいと努力を注がなくてはならないものなのだ。彼のセンスがインターネット上で愛されるようになっても、サンドラーには我々の注目に応えてやろうという色気を出す気配は一切ない。

しかし、アダム・サンドラーのように装いたいという欲求は、必然的に人を五里霧中に追い込んでしまう。一方のサンドラーは相変わらず着こなしに少しの配慮も払っていないようで、玄関を出る前に洗濯済みのカゴから一番上にあるものを掴んでいるだけのように見える。

彼自身が認めているように、彼はバスケに飛び入りで参加することも多々あるという。ちょうどゲームが行われている最中の公園にたまたま出くわすと、近くのスポーツ洋品店に飛び込み、自分のサイズのバスケットボールシューズを何でもいいから手に入れ、次の試合に名乗りを挙げるのだ。彼のくたびれたTシャツは計算されたデザインではなく、過去10年間で何百回ものスピンムーブを繰り返した結果なのである。

サンドラーの服装は、「誰にも何も証明する必要がない」という安らぎを手に入れた男のそれだ。古着屋の棚を探し回るうちに目的を見失わないでほしい。自分のありのままの姿に一番の自信を感じる──それこそが本当の夢だ。膝まで届くようなTシャツを着たり、股下の寸法なんかよりもポケットの大きさを優先したショートパンツを履いたりするとき、求めているのは実はそういうことなのだ。サンドラーコアの帝王は常に、私たちの誰よりもそれをうまく着こなすだろう。しかし、重要なのは服そのものではないということを忘れなければ、サンドラーの境地にほんの少し近づけるかもしれない。

From GQ.COM

By Tres Dean

Translated and Adapted by Yuzuru Todayama