【道場へ行こう】移転前に…総本山「将棋会館道場」でへとへとに
将棋会館道場を訪れた記者が初めて将棋を指す体験をし、歴史ある建物が閉鎖される前に訪れた様子を描いている。
道場では約40人の将棋プレイヤーがおり、対戦相手は子供たちだった。結果は1勝1敗であり、子供たちの早指しと終盤力に驚かされた。
将棋会館はプロ棋士や女流棋士も通った場所であり、歴史と緊張感が漂う場所である。
２０２２年４月に将棋担当になるまで将棋を指したことのなかった記者が、「今から将棋を始めよう」という目線で、将棋教室や道場を実際に体験するコーナー「道場へ行こう！」。第１３回は、東京・渋谷区の「将棋会館道場」へ行ってきました！（瀬戸 花音）
ＪＲ千駄ケ谷駅から６分ほど歩くと、将棋界の総本山「将棋会館」が見えてくる。将棋記者が一年で最も多く通う“職場”の記者室はこの建物の３階にあり、「道場」は２階にある。いつも、２階の道場から響いてくる心地よい駒音を聞きながら、階段を上がっていた。
いつか行こう行こうと思いながら時間だけが過ぎ、気づけばこの道場の終わりの日が近づいていた。将棋会館の建物は今年、４８年の歴史に幕を下ろす。移転先の真新しいビルは、既に千駄ケ谷駅前にそびえ立っている。道場も９月２３日に閉鎖、１０月１日には新しいビルで再スタートを切る。
ということで、いつもは通り過ぎていた道場に吸い込まれていった。夏休みというのもあって大にぎわい。手合カードに名前を記入し、係員の方に自分の棋力を伝えて待っていると、病院の受け付けのようにマイクで名前を呼ばれる。
約４０人の人々が将棋盤と向き合っており、その半数以上が子供だった。この日の私の対戦相手も１３歳（５級）と１２歳（２級）の少年。結果は１勝１敗だった。子供独特の早指しと終盤力に体力を吸い取られ、仕事の続きをするために３階に戻ると、へとへとになっていた。
今のプロ棋士や女流棋士たちの中にも、幼い頃に通っていた者がいる。歴史に裏づけされた独特の緊張感のある道場だった。
