吉田類、長寿番組続ける秘訣 行きたい酒場はまだまだ山ほど「最後は杖をついてでも、ずっとね」

AI要約

BS-TBSの長寿番組『吉田類の酒場放浪記』が放送21周年を迎える。吉田類の人柄やリラックスした雰囲気が人気の秘訣。

番組は2003年にスタートし、現在までに1200回を数える。吉田類が全国の酒場を巡り、その個性を楽しむ姿が視聴者に支持される。

吉田類の自然体のスタイルや先入観を持たずにお店を訪れる姿勢が番組の魅力となっている。

吉田類、長寿番組続ける秘訣 行きたい酒場はまだまだ山ほど「最後は杖をついてでも、ずっとね」

 全国津々浦々の酒場を訪ね、うまい酒と肴、人情に巡り合うBS-TBSの長寿番組『吉田類の酒場放浪記』(月曜午後9時)が、今年9月で放送21周年を迎える。酒と山登りと俳句を愛する「酒場詩人」こと吉田類。辛党だけでなく、幅広い年齢層の視聴者に支持されている。人気番組に押し上げた理由は、なんと言っても吉田の人柄が大きい。75歳を迎えても、「二日酔いは全然しないんだよ」。どんな店にいちげんの客で入っても、すぐに場になじみ、常連と笑顔で酒を酌み交わす。そんな希代の“のんべえ”が、長く続く番組の秘訣(ひけつ)、1人でも酒場を楽しめるコツ、そして今後の意気込みを明かした。(取材・文=吉原知也)

「やっぱり、リラックスしたままでいられるということじゃないですかね。それなりの節度を持つけど、緊張することはない。そんな感覚で酒場に入っていきます。そこじゃないかな。視聴者の皆さんも含めて、みんながリラックスできれば。それに、奇をてらわないこと。ある意味同じことの繰り返しとも言えますが、明日も今まで通りが続けばいいな。そう思っています」

 脈々と放送を続けてきた番組について、こう言葉を紡ぐ。

 2003年9月に放送が始まった同番組。当初は大人の趣味を紹介する番組のワンコーナーだったが、08年に単独番組に。09年からはレギュラーの1時間枠となり、21年2月には放送節目の1000回を達成。新型コロナウイルス禍を乗り越え、現在、1200回を数える。オープニング曲『Egyptian Fantasy-エジプトの幻想-』の不思議な音色、河本邦弘による軽妙なツッコミが入るナレーション、最後に酒場の感想を詠む俳句が名物になっている。

 にこやかにあいさつをしながら酒場ののれんをくぐり、席に着いたのもつかの間、「かんぱーい!」。その日の1杯目の飲み物を決めると、店内にいる客全員と、必ずグラスを重ね合わせて乾杯をする。こうして、店内は一気に「吉田類ワールド」にいざなわれる。その絶妙な居心地を作り出すのが、吉田の真骨頂だ。

 記念すべき初回放送の舞台となったのは、東京・吉祥寺の焼き鳥の老舗「いせや総本店」。そこから東京の下町酒場をはじめ、全国の小粋な一軒や隠れた名店を飲み歩いた。撮影で大事にしているのは、「そのままの気持ち」だという。お店が100軒あれば、100軒とも違う。酒場それぞれの個性がある。「お店に入る前から変にうがった目で見ないことです。先入観を持たない方がいいということ。仮に何度か来たお店であっても、『今日が初めてなんだ』というまっさらな気持ちで入るんです」。初めて来店する酒場であっても、スタッフからほとんど事前に情報を聞かないという。その自然体のスタイルが、多くの視聴者をひきつけている。