『西園寺さんは家事をしない』松本若菜が見せる今までにない表情 “偽家族”が次の新形態に

AI要約

西園寺一妃を巡る三角関係が急浮上し、横井との関係が一歩進展する。

西園寺さんが家事を手伝う中で自身の考え方や家族について考える。

横井と西園寺さんの関係が新たな展開を迎え、楠見にも影響を及ぼす。

『西園寺さんは家事をしない』松本若菜が見せる今までにない表情 “偽家族”が次の新形態に

 西園寺一妃(松本若菜)を巡る三角関係が急浮上し、“偽家族”が次なる新形態にバージョンアップすることになった『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)第6話。

 「あなたを救うことができる、守ってあげられる」とカズト横井(津田健次郎)が西園寺さんに一世一代の告白をしたところに思わずカットインした楠見俊直(松村北斗/SixTONES)は、自身の衝動的な言動に誰よりも困惑する。しかし、その理由を“家族愛”と決定づけてしまうあたり、楠見も彼女と匹敵する不器用さと鈍感力が見え隠れする。

 一方、西園寺さんへのアプローチを本格化させた横井は彼女をデートに誘い出す。いかにも売れっ子YouTuberが乗りそうな黄色いスポーツカーにキメキメのファッションで待ち合わせ場所に登場した横井だが、世代を感じさせる車内のBGMの選曲には思わず笑ってしまう。行き先の水族館では音声ガイド並に詳しい魚の知識を披露するも、それもこれもすべて彼が一生懸命下調べして準備したものであることが明かされると、その健気さがなんだか憎めない。これが重くもならず過剰にも映ってしまわないのは、うんと年下の明美(月島琉衣)にも気軽にツッコミを入れられた上、横井自らがその経緯を素直に種明かししてしまうかわいげゆえだろう。

 ひょんなことから横井と一緒にこども食堂の手伝いをすることになった西園寺さんの中にも様々な変化が巻き起こる。自身が調理の工程に携わった料理を美味しそうに頬張る子どもたちの姿を見て、“やりたくない家事をやらされ続けていた”末に家を出て行ったと勝手に決め付けていた母親について、それも自身の思い込みだった可能性に思いを馳せる。

 また彼の「家族以外にも頼れる人がいる」という考え方を普及したいという思いに共鳴し心を開いていく。彼のそんな発想に西園寺さんは自身が何より大切にしている“偽家族”を思う気持ちを肯定してもらえた気がしたのかもしれない。

 “偽家族”の継続は絶対で、しかし横井の気持ちにも前向きに向き合ってみたい西園寺さんは、楠見からの反対を押し切り“偽家族”の実態を包み隠さず話すことを決める。

 かなり無謀で突拍子もない話に思えるが、自分だけほしいものを手に入れて虫のいい話だということは重々承知の上、横井にありのままを誠実に伝えようとする西園寺さんだからこそ、こちらも自然と応援したくなってしまう。

  西園寺さん役を好演している松本はその名を一気に茶の間に轟かせることになった『やんごとなき一族』(フジテレビ系)での打算まみれなエキセントリックな演技や、『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)で見せたクセが強くも笑える愛すべきキャラクターのイメージが強いが、本作での西園寺さんでは全く異なる表情を見せてくれている。打算など一切なく自然体で一生懸命で、気がつけば周囲が引き込まれ不思議と彼女のためにあれこれ動きたくなってしまうような求心力を持つ役どころも、とても魅力的に演じてくれる。

 さて、体当たりの西園寺さんのプレゼンに「楠見さんお辛かったですね。西園寺さんに会えて本当に良かった」「偽家族は僕の理想です、大いに賛同します」なんて言葉を言えてしまう横井の大人ぶりと懐の深さには感服してしまう。しかしそれもこれも、少し心配になるほどに一切の計算なしの西園寺さんの正面突破しか知らない言動ゆえだろう。そして、大人な横井からの提案が“偽家族”+“仮彼氏”という新形態を生み出す。西園寺さんにとっては願ってもみない形ながらも、なんだか波乱の幕開けが香り立つ。

 “偽家族”というシステムを本当に前向きに受け入れているかどうか見極めた上で、自分との交際についての返事がほしいというあまりに出来すぎな横井の姿は、楠見にとってどんな刺激となり、彼にどのような心境の変化をもたらすだろうか。“偽家族”にすんなりと“仮彼氏”は馴染めるのだろうか。