<逃げ上手の若君>「命の危機に興奮するとは…」ハラハラドキドキの“隠れ鬼”で時行の生存本能に火がつく?

AI要約

TVアニメ「逃げ上手の若君」の第四回が7月27日に放送された。北条残党の殲滅を目論む足利尊氏から、諏訪大社に刺客が送られてくる。弓の名手・小笠原貞宗との隠れ鬼で北条時行の生存本能に火がついた。

本作は、松井優征原作の歴史スペクタル漫画を元にしたTVアニメで、北条時行が動乱の世を駆け抜ける姿を描いている。

敵キャラの目力がおぞましい!貞宗と尊氏の狂気や変態性が滲むキャラクター描写が印象的である。

<逃げ上手の若君>「命の危機に興奮するとは…」ハラハラドキドキの“隠れ鬼”で時行の生存本能に火がつく?

TVアニメ「逃げ上手の若君」(毎週土曜深夜11:30-0:00ほか、TOKYO MXほか/ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・Leminoほかで配信)のの第四回が7月27日に放送された。北条残党の殲滅を目論む足利尊氏から、諏訪大社に刺客が送られてくる。弓の名手・小笠原貞宗とのハラハラドキドキな“隠れ鬼”で北条時行の生存本能に火がついた。(以下、ネタバレを含みます)

■「逃げ上手の若君」

本作は、「魔人探偵脳噛ネウロ」「暗殺教室」で知られる松井優征が週刊少年ジャンプ(集英社)にて連載中の歴史スペクタル漫画を原作としたTVアニメ。鎌倉幕府滅亡の後、北条家の生き残りである主人公の北条時行が動乱の世を駆け抜ける姿を描く冒険譚だ。

アニメーション制作は「SPY×FAMILY」や「ぼっち・ざ・ろっく!」などを手掛けるCloverWorks、監督は「ワンダーエッグ・プライオリティ」で副監督を務めた山崎雄太、シリーズ構成は「その着せ替え人形は恋をする」の冨田頼子、キャラクターデザインは「劇場版ポケットモンスター ココ」で総作画監督を務めた西谷泰史が担当。奇才の製作陣が、美麗かつ迫力のある映像で歴史の一片を紡ぐ。

■敵キャラの“目力”がおぞましい!

後醍醐天皇に幕府滅亡への功績を称えられ、“尊氏”と改名した足利高氏(CV:小西克幸)。「逃げ上手の若君」第四回では、北条の残党を殲滅しようとする尊氏から、諏訪頼重(CV:中村悠一)のもとに刺客が送られてくる。

その人物とは、鎌倉幕府に仕えていた武将・小笠原貞宗(CV:青山穣)だ。高氏が倒幕に踏み切ると真っ先に北条家を見限り、その郎党となって戦った貞宗。幕府滅亡後は、後醍醐天皇より信濃守護に任ぜられた。

貞宗に限った話ではないが、なかなかに癖のある人物で、特に印象に残るのはその妖怪じみたキャラデザインだろう。高氏の手のひらに乗った小さなダニの数はもちろん、性別まで見分けるほどの優れた視力を持つ貞宗のギョロッと飛び出た目は人間離れしている。

諏訪の下働きから一転、信濃守護となった貞宗は頼重にいきなり敵意を剥き出し。頼重の首に矢を突きつけ、諏訪大社で匿っている北条家の生き残りを差し出す様に命じる。さらに、去り際には「諏訪明神では耳の避けた鹿が取れると縁起がいいそうで」と巫女の耳に目がけて矢を放つなど、かなりの鬼畜ぶりを見せた貞宗。

それぞれの狂気や変態性が滲むキャラクター描写は本作ならではだ。最大の敵・尊氏も一見穏やかな人物だが、腹の底は見えない。印象的だったのは足利家の執事・高師直(CV:宮内敦士)に「殿の笑顔は最近ますます人間離れして参りましたな」と言われた時のセリフと表情。「戯言を申すな。頼んだぞ、皆で帝をお支えするのだ」と応える尊氏の口ぶりや表情は依然として穏やかではあるが、瞳の中には無数の目ん玉が。尊氏の人間離れした内面がまざまざと伝わってくるその禍々しさに思わず身震いしてしまった。

■難敵との弓対決で芽生える生存本能

第四回は、北条時行(CV:結川あさき)が持つ英雄としての素質が次々と現れた回でもあった。巫女を怪我させた貞宗をみんなが強く非難する中、「弓だけは美しかった」と振り返る時行。そう、貞宗は弓の名手であり、その腕前を支える視力と観察眼を持ち合わせていた。憎き相手であっても、良いところは良いと認める素直さと度量。頼重は、時行が大将になる時、必ずその資質が役立つと確信するのだった。

そんな中、諏訪大社で走る犬を馬上から弓矢で射て優劣を競う武技「犬追物」が行われる。北条の残党を捕え、かつ諏訪の勢力を弱めようとする貞宗はこれに目をつけた。当日、強引に飛び入り参加を果たした貞宗は「もしお前たちの誰もわしの弓に勝てなかったら、この諏訪領内で我らが北条を捜索すること、怪しいものを取り調べること、一切邪魔せぬと誓ってもらおう」と賭けを申し出る。

頼重はこれに快諾。対戦相手として、まさかの時行を推薦する。時行は武芸の中で唯一得意とする弓の練習に励んでおり、貞宗の技術を盗むチャンスと捉えたのだ。しかし、時行が貞宗に勝てる可能性は皆無に等しく、負けたら諏訪家は貞宗の言いなりにならなければならない。時行は“長寿丸”という偽名を使っているが、何かの拍子で素性がバレる可能性もある。

弧次郎(CV:日野まり)と亜也子(CV:鈴代紗弓)たちは頼重をどういうつもりかと問い詰めるが、時行は憎き尊氏の顔を浮かべながら決意を固めるのだった。鎌倉にいた頃は嫌なことや面倒なことから逃げ続けていた時行。けれど、一度心に決めた大事なことからは決して逃げない。それも英雄となる上で重要な素質だ。

時行と貞宗の対決では、互いの身体に当てた場合も犬と同様に得点となるという特別なルールのもとで行われた。時行は自分の身体を狙う貞宗の弓を避けながら、接待用に調教された犬に弓を当て、得点を稼ぐ。最初は頼重が考えた作戦で順調に得点を伸ばしていた時行だが、弓だけではなく馬術も優れた貞宗に追い詰められていくのだった。

そんな中、ついに貞宗の弓が当たり、怪我をしてしまった時行。額から血が出ていることに気づき、「本物の弓なら死んでた」と怯えたかと思いきや、次の瞬間。時行は「楽しい!」と恍惚とした表情で馬を走らせる。痛みを感じることで、時行の中で生存本能の怪物が芽生えたのだろう。そんな時行に、視聴者から「どんどん時行の癖がオカシクなっていく」「命の危機に興奮するとは…」「血が出て痛くて怖いのに興奮してる時行様、本物の変態」「大事なことからは逃げない時行がめちゃくちゃかっこいい…!」という声が上がった。

◆文/苫とり子