「METAL BUILD DRAGON SCALE 龍王丸」変形レビュー

AI要約

「METAL BUILD DRAGON SCALE 龍王丸」は金属パーツを使用したフィギュアで、龍王丸から鳳王形態へ変形するギミックが搭載されている。

変形ギミックの紹介から、鳳王形態への変形の詳細、さらには超鳳王への変形までを解説。

龍王丸のデザインや可動範囲、変形時のポイントなど、製品の魅力について紹介。

「METAL BUILD DRAGON SCALE 龍王丸」変形レビュー

 「METAL BUILD DRAGON SCALE 龍王丸」がついに発売になった。本商品は金属パーツを随所に使い、大胆なアレンジを加える完成品フィギュア「METAL BUILD」のスピンオフブランド、"見せるダイキャスト"、"生物的な可動表現"などを採り入れた「METAL BUILD DRAGON SCALE」の最新商品となる。

 特に「METAL BUILD DRAGON SCALE 龍王丸(以下、DRAGON SCALE 龍王丸)」は、ブランド第1弾である「METAL BUILD DRAGON SCALE 龍神丸」の方向性を受け継ぎながら、"変形"の要素を盛り込んだ「龍王丸」に挑戦、さらに本商品オリジナル形態である「超鳳王」へ変形できるというギミックが盛り込まれている。

 今回「DRAGON SCALE 龍王丸」のサンプルを借りてしっかり触ることができた。本稿では変形ギミックの紹介を中心に、事前の取材で本商品の企画者であるBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の加納竜司氏にこだわりのポイントも聞くことができたので、各所の紹介時に、こちらも紹介していきたい。

■ 龍神丸のアレンジを受け継ぎながら、"変形"ギミックを盛り込んだ意欲作

 「DRAGON SCALE 龍王丸」は、「METAL BUILD DRAGON SCALE 龍神丸」のアレンジの方向性を受け継ぎつつ、「鳳王形態」さらに「超鳳王」への変形ギミックを搭載している。「METAL BUILD DRAGON SCALE 龍神丸」は、フレームなど随所に金属パーツを使い、光沢のある塗装、クリアパーツなどもふんだんに使用している。

 エッジを効かせたデザイン、さらに練られた関節設計により、"龍神丸フィギュアの決定版"と言える商品となっている。こちらに関しては弊誌でもしっかりレビューしているので、是非一緒に読んで欲しい。

 「DRAGON SCALE 龍王丸」もまた"決定版"といえる商品である。龍王丸は龍神丸とくらべ、白主体のシンプルに見える配色だが、金の差し色が非常に効果的に使われている。「DRAGON SCALE 龍王丸」ではフレームも金のメッキによるダイキャストを使っており、関節などで効果的に輝く。また金属パーツ使用による重量感も大きな魅力。その重量は約660g、ずしりとした重さが満足感をもたらしてくれる。

 肩や足などにはクリック関節が使われ、カチカチと動かす楽しさがある。しっかりした作りで、遊べる。この動かす楽しさは変形でさらに膨らむ。次章から変形をしっかり語っていこう。

■ パーツが大胆に動く鳳王形態への変形、目による"意思を宿す演出"に注目

 それでは変形させていこう。龍王丸から鳳王形態への最初の変形は腕からとなる。まず肘を通常とは逆に曲げる。こうすることで前腕のカバーがきちんと外れる。前腕の前後のカバーを外し拳を前腕内部に入れるとツメが出てくる。このツメと前腕部分で畳まれていたツメを合わせることで鳳王形態の足となる。

 次は頭部の変形。ここは企画者の加納氏が一番好きなギミックだという。龍王丸のオリジナルデザインでは鳳王形態の首は胴体内部にあるが「DRAGON SCALE 龍王丸」は背中に鳳王形態の首を背負っているかのようなデザインアレンジをしている。

 鳳王形態の変形の際、まず龍王丸の顔を額のバイザーに収納、首を引き出して胸元側に頭部を一気に傾ける。次に背中の鳳凰の首を引き出す。この際、収納時は黒かった鳳王形態の目が引き出すことで光が宿る。加納氏が気に入っているのはこの演出で、龍王丸の目が隠れ、次の瞬間鳳王形態の目が輝くことで、龍王丸の"意思"が龍王丸から鳳王形態へ移ったように感じるという。

 実はこの首の引き出しが鳳王形態への変形の大きな山場となっている。鳳凰の首を強く引き抜くことで首や肩が連動し、龍王丸の大胆な変形が可能となる。部品を壊さないように気をつけながら、しっかり首を引っ張ることでカチリとロックが外れ、龍王丸の首の基部が浮き上がるのだ。

 ロックが外れることで胸の両脇にある肩の付け根パーツを動かすことができるようになる。前に向いていた先端部分を下に向ける方向で90度回転させる。さらに頭部を引き出し、胸部分にしっかりめり込ませる。

 加納氏は、「龍王丸の首の基部からダクトが出てくるところに注目して欲しい」と語った。このダクトはアニメでは効果的にカメラが当たるポイントなのだが、大きな頭と小さな胴体の龍王丸のデザインにおいて、鳳王形態への変形を実現する立体物では首の基部からダクトが出てくるという演出を実現させるのが難しかった。このダクトをきちんと再現しているところが「DRAGON SCALE 龍王丸」のセールスポイントの1つだという。

 頭部をしっかり変形させてから腕(鳳王形態の足)の向きも調整させ、もう1つの山場である"翼"の変形に移ろう。

 鳳王形態の翼は龍王丸の"足"だ。鳳王形態への変形では龍王丸の足を大胆に開いていく。「DRAGON SCALE 龍王丸」は足にもふんだんに金属パーツが使われており、かなり重量がある。この大型のパーツが大胆に動くのは楽しい。特に足の付け根の変形は固いので気をつけながら変形させていこう。

 足を開いたら翼の形態に整えていく。腿の外側の勾玉の意匠のある部分を鳳王形態の上部に、そして膝部分を回転させ龍王丸でつま先立った部分を前に持って行く。アキレス腱にあったブレードを回転させ、つま先を変形、合わせることで、足の形から鳳王形態の翼へ変形する。

 さらに腹部の変形だ。龍王丸の腰を覆っていた装甲板が基部ごと大きく動き、鳳王形態の胸部の部分をカバーするような形となる。この変形の際、龍王丸の腹部に収納されていた青い球がチラリと見えるところがファンにはぐっとくるポイントだろう。

 ここから龍王丸の時の背中のジョイントを展開し、剣を収納した盾を接続、さらに鳳王形態の口を開き、「鳳雷波」の銃口を露出させて変形完了だ。

 「DRAGON SCALE 龍王丸」ならではのメカの雰囲気を強めたアレンジにより、鳳王形態もエッジの効いたメカらしい雰囲気を持つ姿になっている。専用のディスプレイ用パーツも用意されており、鳳凰丸の姿で飾っておくことも可能だ。

 ……そして「DRAGON SCALE 龍王丸」は最大の特徴である「超鳳王」への変形ギミックを搭載している。次章ではいよいよ超鳳王へ変形させていこう。

■ 飛行形態がさらにシャープに! 「超鳳王」への変形

 超鳳王は「DRAGON SCALE 龍王丸」で新しく設定されたオリジナル形態だ。そのテーマは鳳凰丸のスタイルのさらなる向上にある。手足が短い龍王丸が飛行形態に変形した鳳凰丸はどうしても丸っこいフォルムとなるが、超鳳王は飛行形態としてよりバランスが向上したカッコイイスタイルとなる。

 大きなポイントは「翼の拡張」、「足の付け根のフォルム変更」、「尾部の追加」である。鳳王から変形の最初は鞘を取り外すところから。ジョイント部分も元に戻す。

 そして超鳳王の注目ポイントである"翼の拡張"である。龍王丸のふくらはぎ部分が移動し、翼が伸張するのだ。さらに内側の折畳まれていた"風切り羽"を起こす。よりエッジが効いた翼になった。

 さらに肩アーマーの変形である。超鳳王に変形する際、肩アーマーの後ろ部分を変形させることで、横を向いていた肩アーマーとツメが後ろを向く。こうすることで横に張り出していた肩アーマーが機体にそる形と鳴り、飛行形態としてスマートになった。このシルエットの変化も加納氏は気に入っているとのことだ。

 最後は尾部。ここにシールドを取り付ける。龍王丸のシールドは左右の縁が開いて防御面積が広くなるが、「DRAGON SCALE 龍王丸」はさらにシールドを拡げ、神話で語られる鳳凰のような豪華な尾を持つようになる。

 超鳳王は鳳王形態からさらに飛行形態としてよりシャープな形になる。筆者は個人的に龍王丸の変形の際、方の爪部分が外側に張り出しているところが気になっていたのだが、超鳳王では爪部分が後方に向くことで飛行形態がよりスマートになったと感じた。

 翼が広がり、尾部を得たことで超鳳王は鳳王形態とは異なるバランスを獲得した。加納氏は超鳳王は「「METAL BUILDらしさ」が前面にでることを意識したデザインだという。この形態は「DRAGON SCALE 龍王丸」の大きなセールスポイントとして、ぜひ商品を変形させ、超鳳王の形態でのバランスを手と目で感じて欲しいと語った。

 次章では各形態の細部をチェックし、加納氏のこだわりポイントを掘り下げていこう。

■ 随所に強いこだわり! 「DRAGON SCALE 龍王丸」だからこそのかっこよさ

 「DRAGON SCALE 龍王丸」は、「DRAGON SCALE 龍神丸」と共通する意匠として内部フレームに金の竜が入っている。頭部バイザーの黒が強くてちょっと見えにくいのだが、光を当てて透かしてみるとバイザーの奥に竜の顔が見える。このギミックは「DRAGON SCALE 龍神丸」でも取り入れられていたものだ。

 アニメでは主人公のワタルは龍神丸に吸い込まれ、異空間のような不思議な空間で、金の体を持つ竜の頭に乗り、角を掴んで操縦する。また、最終決戦の時、龍王丸の体から黄金の竜が出てきてワタルを乗せて戦う。「DRAGON SCALE 龍王丸」はこの金の竜が龍王丸のフレームになっている、という解釈が加えられている。

 この金のフレームはダイキャストに金のメッキをしたものではなく、あえて塗装でより鮮やかな金を演出していると加納氏は語った。このようにメッキと塗装を使い分けた金の演出も行っているとのこと。「DRAGON SCALE 龍王丸」は足の内部や首元などでも金色が効果的に使用されており、高級感と、龍王丸のキャラクター性を強めている。ほかにも白にもパールとつや消しを使用し立体感を高めている。

 筆者のお気に入りは「鳳龍剣を構えたポーズ」だ。龍王丸は頭が大きくて足が短いデザインだが、アニメでは龍王丸の必殺技・鳳龍剣(ほうりゅうけん)を放つとき、剣を両手で持ち、振りかぶってから敵を一刀両断する。「DRAGON SCALE 龍王丸」では肩の付け根がダイナミックに可動して剣を振りかぶるポーズが再現できる。

 また、鳳龍剣は鞘となる盾に収納されており引き抜くのだが、「DRAGON SCALE 龍王丸」では盾を前に構え、剣の絵を掴むことも可能。こういった「龍王丸が取りたいポーズができる」という可動範囲の広さも大きな魅力だ。非常にプレイバリューの高い商品である。

 もう1つ、シリーズの進化を物語っているところとしては「台座」にも注目して欲しいと加納氏はコメントしている。台座の取り付け部分に金属パーツを使用。従来の「METAL BUILD」シリーズではこの付け根も樹脂製だったため、金属パーツを多用している「METAL BUILD」を支えるのに不安があった。金属の部品を使うことで耐久性が向上しているのだ。台座に描かれた紋章ももちろん注目ポイントだ。

 最後は各形態の写真を載せていこう。

 「DRAGON SCALE 龍王丸」は非常にカッコ良く、満足感を得られるフィギュアだ。実際、唯一無二の龍王丸フィギュアになったと思う。加納氏は「これまでの龍王丸とはひと味違う、メカニカルな要素、エッジを強めた独特のアレンジデザインを楽しんで欲しいです」と語った。

 「DRAGON SCALE 龍王丸」はやはり手に持ったときの感触が良い。ずしりと重く、大きい。龍王丸をメカニカルさを感じさせるアレンジを加え、頭が大きく手足が小さいバランスなのに実にカッコイイ。可動範囲も広くポーズを取らせる楽しさがある。

 そして変形だ。特にロックが外れパーツが動くところ、龍王丸から鳳王形態でシルエットが変わるのが良い。超鳳王になることで鳳王形態からさらにプロポーションが向上する。手に持って飛んでる姿を想像して眺めるのがとても楽しいのだ。これまでの龍王丸フィギュアともひと味違う商品だ。

 高価な上に人気がある商品で入手は難しい部分があるが、「魔神英雄伝ワタル」のファンに留まらず、多くの人に手に取ってもらい、デザイン、重さ、可動、変形、そして超鳳王の面白さにぜひ触れて欲しい。

(C)サンライズ・R