ユーミン万歳!世界的なエンジニアがカッティング用マスタリングを施した音質はどれくらい凄いのか?

AI要約

1970年代の青春を過ごしたロック少年たちが荒井由実の音楽にどんどん惹かれていた。

歌詞の世界観とサウンドが70年代ロック少年の心に響いていた。

特別限定盤アナログボックスの魅力に惹かれて、購入をためらっている筆者の心情が描かれている。

ユーミン万歳!世界的なエンジニアがカッティング用マスタリングを施した音質はどれくらい凄いのか?

僕の周りだけかもしれないが、1970年代に青春を過ごしたロック少年にとって、荒井由実(以下、あえてユーミンとは呼ばず荒井由実で通す)は特別な存在だった。

レッド・ツェッペリン命の僕も、ロッド・スチュワートそっくりのヘアスタイルのA君も、デビッド・ボウイにうっとりしたO君も、オジー・オズボーンがヒーローのK君も、荒井由実はとことん聴いた。当時の日本を代表するロック・バンド、はっぴいえんどにも、キャロルにも、四人囃子にも全く関心がないのに。

後に僕は荒井由実がプロコル・ハルムやピンク・フロイドが好きと知るが、荒井由実3枚のアルバムからそんな影響を感じ取れなかったので、サウンドが洋楽ロック(プログレ)っぽいから聴いたということでは決してないはずだ。とにもかくにも、歌詞の世界観とサウンドが70年代ロック少年の心に刺さったのだ。

とはいえ松任谷由実以降も含めて、熱いファンから見れば僕はファンとは言えないレベルだ。レコードは荒井由実オリジナル盤3枚とリマスターされた『ひこうき雲』のLP+CD+DVDを持っているだけ。

ライブは80年代に武道館、90年代に逗子マリーナ、00年代に苗場プリンス、そして昨年の国立代々木競技場の4回だけだ。「代々木のセットリスト、半分は知らない曲だった」と、夫婦でこのツアーを4回見たという今でもオジー・オズボーンが最高とするK君に告げたら、笑われてしまった。

とはいえとはいえ、新聞のテレビ番組表でテレビ出演を知った以上は必ず見る。紅白も必見だ。そして見るたびに曲を聴くたびに、(荒井由実の曲ではなくても)いいなとつくづく思う。

一昨年10月、デビュー50周年を記念するベスト・アルバム『ユーミン万歳!』が発売された。CD3枚組51曲収録通常盤が税込3850円、ブルーレイ付きの初回限定盤が同5280円、DVD付きの初回限定盤が同4730円。CDプレーヤーを持たず、レコードしか聴かない僕はもちろん手を出さなかった。

ところが去る6月26日水曜日、朝日新聞の朝刊をめくっているとカラー全面広告に、“ユーミン万歳![完全限定盤アナログボックス]本日発売”とあるではないか。

6枚組クリア・レッド・ヴァイナル仕様、数量限定で5000セットだ。お値段はCDの9倍弱の税込33000円。熱いファンではない僕が買う価格ではない。

だがCDには未収録の荒井由実の曲「12月の雨」「少しだけ片想い」「COBALT HOUR」が入っている。さらに松任谷由実では「真夏の夜の夢」と並んで好きな「BLIZZARD」も(この曲がCD未収録は僕には謎だった)。さらには“GOH HOTODA氏により新規カッティン用マスタリングを施した高音質盤”とある。

“GOH HOTODA氏により新規カッティング用マスタリングを施した高音質盤”に惹かれて『ユーミン万歳!』を購入した筆者が、「ひこうき雲」のオリジナル盤、2013年のリマスター盤、50周年盤を聞き比べていく。

文/斎藤好一