槇原敬之、38公演を巡った全国ツアーを完走 冬に新たなコンセプトのツアー開催を発表:レポート

AI要約

槇原敬之が最新ツアーのファイナル公演を成功裏に終え、冬に新たなコンセプトのツアー「マキハラボ」を開催することが発表された。

今回のツアーは90年代の楽曲に焦点を当て、前回のツアーコンセプトを継承しつつ、新たな楽曲も披露された。

槇原のエピソードや楽曲の背景を交えながら、ファンとの思い出づくりの大切さを語り、新たなコンサートへの意気込みを示した。

槇原敬之、38公演を巡った全国ツアーを完走 冬に新たなコンセプトのツアー開催を発表:レポート

 槇原敬之が14日、全国ツアー「Makihara Noriyuki Concert 2024 “TIME TRAVELLING TOUR” 2nd SEASON~Yesterday Once More~」のファイナル公演が、沖縄・那覇文化芸術劇場なはーと 大劇場で開催され、冬に新たなコンセプトのツアー「マキハラボ」を開催することが発表された。

 今回の全国ツアーは、3月16日の東京を皮切りに、宮城、新潟、福岡、北海道、大阪など全国各地で公演を行なってきた。今回のツアータイトルに“2nd SEASON”とあるように、2018年に行われた「”TIME TRAVELLING TOUR” 1st SEASON」のコンセプトを継承したツアーとなった。前回のツアーは、その時点でリリースされていた47枚のシングル、21枚のオリジナルアルバムの中から、新作発表に伴うツアーではなかなか披露されてこなかった楽曲を中心に歌唱するというものだった。さまざまな年代の楽曲が披露され、まさにタイトル通り“タイムトラベル(時間旅行)”する感覚で楽しませてくれた。今回の2nd SEASONもタイムトラベル感覚で楽しむことのできる内容になっていた。

 オープニングSEが流れる中、バンドメンバーたちが登場し、続いて槇原もステージに現れた。大きく温かい拍手が響く中、1991年にリリースした2ndシングル「ANSWER」からスタート。歌い終わったところで「みなさん、こんばんは! 『Makihara Noriyuki Concert 2024 “TIME TRAVELLING TOUR” 2nd SEASON~Yesterday Once More~』へようこそお越しくださいました。本当にありがとうございます!」と挨拶をして、「今回のコンサートは90年代に焦点を当てたコンサートになっております」とコンセプトを説明。「リアルタイムで聴いてくださった方にはとっても懐かしい感じのコンサートになっております。初めて聴く方にとっては、もはや新曲です! 新曲を聴くような感じで楽しんでいただければと思います」と呼びかけた。

 「80Km/hの気持ち」「さみしいきもち」「僕の彼女はウエイトレス」「2つの願い」を披露した後、バンドメンバーを含めたステージ衣装にも触れた。衣装を担当したのは、槇原ファンならお馴染みの「BEAMS」窪浩志氏。ツアー衣装を担当して15年になるという窪氏による今回の衣装は、ツアーのコンセプトに合わせて、90年代の頃に槇原が着ていた服装のエッセンスを取り入れたものになっていて、ブランド“ROMEO GIGLI(ロメオ ジリ)”を意識したものになっているという。その時その時のコンサートの内容に合わせて作られるステージ衣装も槇原のコンサートの楽しみの一つと言える。

 「I NEED YOU」「BLIND」「THE END OF THE WORLD」といった、本人いわく“ネチネチ楽曲”という陰鬱としたネッチリとした世界観が際立った楽曲たちを聴かせ、「三人」や「キミノテノヒラ」「LONESOME COWBOY」などを楽曲が生まれた経緯やエピソードを交えて披露。楽曲の背景がわかることで曲への没入感も増していく。

 後半戦に入る前に、「みなさん、曲ごとにいろんな思い出を作ってくださっていると思うんです。いつかみんなで『こんな思い出があった』って反芻し楽しめるような時間がまた持てたらと思って、今回のツアーを行おうと思いました」と、2度目の「TRAVELLING TOUR」開催を決めた思いを伝えた。さらに「今、ほとんど世の中にいいニュースが飛び込んでこなくて、生きるのも大変じゃないですか。ちょっとくらい楽しい気持ちにさせてくれ!って思ったりしますよね。そんな時、90年代の曲だったら楽しい気持ちになってくれるんじゃないかなって思ったんです。90年代って元気だったり、わけもなく前向きだったり、ワクワクしたりしていたので、そういうのをもう一度みんなで思い出せれば」と今回のツアーに込めた思いも語った。

 サブタイトル「Yesterday Once More」についても「ウォーキングをしていた時に神のお告げのように頭に入ってきた」と話し、「『Yesterday Once More』という曲がアメリカのチャートに入ってきた時、ちょうどベトナム戦争が起きていました。それまでは『行け行け!』というムードだったアメリカに、この曲が流れたことによって『あれ?僕たち何やっているんだろう? 戦争してる場合じゃないのに』ってマインドシフトしていったと聞きました。今、誰も望んでない戦争が起こっている時代に、何か音楽の力を信じられたらいいなと思いました」と、カーペンターズの楽曲を引き合いに出して、今の世界情勢を音楽の力で変えられたらという願いも込めていることも伝えた。

 後半は「No.1」「SPY」「Hungry Spider」といったヒット曲を立て続けに披露し、最後は「どんなときも。」を、立ち上がり手拍子を送るオーディエンス全員と歌って締めくくった。

 あアンコールの声に応えて、再び槇原がステージに登場。そしてここで槇原のMCにより、冬に新たなコンセプトのツアー「マキハラボ」を開催することが発表された。ピアノ、弦、コーラス隊、パーカッション、歌だけで、どこまで世界観を表現できるかという、実験室のようなコンサートにしたいという。これまでとは全く違う形のツアーになりそうだ。11月25日の東京を皮切りに、京都、兵庫、そして、12月26日大阪の7公演がサプライズ告知され会場を大いに沸かせた。

 そして槇原みずからバンドメンバーを一人ずつ呼び込み、「まだタイムマシンは90年代に留まったままです。90年代の曲をもう一曲お届けします」と言って「北風~君にとどきますように~」を歌唱。そして「そうこうしてる間にタイムマシンが現代に戻ってきました。一番新しい曲を聴いてもらいたいんですがいいですか?」と、5月1日に配信リリースした新曲「うるさくて愛おしいこの世界に」を披露した。代表曲の一つ「もう恋なんてしない」を会場のファンとバンドメンバーと共に一体になって大合唱したのち、槇原は舞台に一人残りピアノ弾き語りで「君は僕の宝物」を披露しツアーファイナルは幕を下ろされた。

Photo by四方あゆみ、松村美保