過去作では悪役を…朝ドラ『虎に翼』25歳俳優が「素晴らしい役を得た」と断言できるワケ

AI要約

三山凌輝が『虎に翼』で演じる猪爪直明は、良い演技を見せている若手俳優であり、視聴者を魅了している。

三山はSKY-HIプロデュースのダンス&ボーカルグループBE:FIRSTのメンバーであり、俳優としても注目を集めている。

物語では、猪爪直明が帰ってきて成長した姿や、本好きな一面が描かれ、姉である寅子との関係が深まっていく。

過去作では悪役を…朝ドラ『虎に翼』25歳俳優が「素晴らしい役を得た」と断言できるワケ

 すごく人懐っこくて、いい演技だなと思う。『虎に翼』(NHK総合)に出演する三山凌輝のことである。

 主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)の弟・猪爪直明を演じる三山のキラキラ具合が話題だが、第15週第73回で寅子と会話する場面が、俳優・三山凌輝最大の見せどころとなった。

 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、素晴らしい役を得たなと実感する本作の三山凌輝を解説する。

『虎に翼』で三山凌輝は、ほんとうにいい役を得た。SKY-HI総合プロデュースの下、日本の音楽シーンを活気づけ、牽引するダンス&ボーカルグループBE:FIRSTのメンバーである三山は、俳優としてはまだそれほど出演作品は多くない。

 だから『虎に翼』での猪爪直明役を新境地だの真骨頂だのと形容することは簡単だけれど、俳優・三山凌輝を考える上ではもっとそれ以上の意味があるような気がする。

 2022年公開の『HiGH&LOW THE WORST X』では、主人公たちが敵対する不良組織の総帥的な悪漢として登場し、悪の美しさが全身から溢れていた。同作以降、彼は悪役路線でいくのかと思ったら、全然テイストや世界観が異なる『虎に翼』で躍進してしまうという。

 三山が演じるのは、寅子の弟という役柄。帝国大学進学を目指し、学業に励むため単身、岡山の進学校で寄宿舎生活。視聴者はどんな好青年になって帰ってくるだろうと期待したことだろう。

 終戦間近、第9週第41回で直明が帰ってくる。胸ときめく好青年に成長していた。三山の初登場にはもううっとり。周囲からは「寅ちゃん」と呼ばれる寅子のことを「お姉ちゃん」と呼ぶのも何だか新鮮。

 育ちの良さはもちろん、ものすごく素直で人懐っこい。戦後の猪爪家の希望そのもの。実際、帝大進学を諦め、働いて家庭を支えると言って改まる姿にはグッとくる。

 だけどここは姉として、弟の好きな道を歩んでほしい。第42回では、一家を支える柱のひとつになりながらもこっそり隠れて、一冊だけ売らずに手元に置いた本のページを何度でもめくる。台所に座り込んで、一行一行食い入るように熱心に見つめる。

 直明は単に優秀なだけでなく、根っからの本の虫なのだ。そんな弟の姿を見た寅子は、一度弁護士の看板を下ろして押し入れにしまい込んでいた法律書を直明に貸す。

 直明は、「えっ、いいの?」と目を見開く。自分の専門分野でなくとも、目の前に本があり、文字が書かれていたら、それだけで読みたくてたまらない。こんなにもさわやかに貪欲な活字中毒者が彼以外にいるだろうか?