伊藤匠七段、同学年のライバル・藤井聡太叡王破り初タイトル 終盤の王手続く展開も「詰まないかなと」【叡王戦第5局】

AI要約

伊藤匠七段が藤井聡太叡王を破り初タイトルを獲得

伊藤七段が10連敗から初勝利を挙げ、第9期叡王戦で快勝

苦しい戦いを経て、ライバルを引きずり降ろした伊藤七段

伊藤匠七段、同学年のライバル・藤井聡太叡王破り初タイトル 終盤の王手続く展開も「詰まないかなと」【叡王戦第5局】

 3度目の正直だ。将棋の伊藤匠七段(21)が、20日に甲府市の常磐ホテルで指された第9期叡王戦5番勝負第5局で、藤井聡太叡王(21)を156手で破り3勝2敗で初タイトルを獲得した。小学校時代から対戦を繰り返した同学年のライバルを、全八冠から引きずり降ろした。

 昨年10~11月の竜王戦では0勝4敗。今年2~3月の棋王戦では第1局を持将棋(引き分け)に持ち込んだものの、その後は3連敗。通算成績でもプロ初対決から10連敗を喫していた高い壁から、初勝利をマークしたのが本棋戦第2局だった。

 第3局も連勝を飾って相手をかど番に追い込んだが、第4局でタイにされて臨んだこの一局。「タイトル戦で苦しい戦いが続いていたので、一つ結果を出せて良かった」と本音が漏れた。

 本局も「陣形の差があって、こちらだけ終盤戦になって自信のない展開が続いたいた」と、序中盤では苦境にも立たされたが、藤井叡王も「気付いてなかった」という自陣で2枚の銀を縦に並べる配置で守りを固めると「かなり(相手の)王手が続くが、進めているうちに(自玉は)詰まないかなと思った。辛抱強く指すことができた」。終盤の猛攻に耐えられると読み切った。苦境から立ち上がるライバルとの対戦の道筋と同じだった。

 5番勝負を通じて「苦しい将棋が多かった。運が良かった。勝因はちょっと分からない」と謙遜した。かねて「藤井からタイトルを奪うならこの男」とうわさされていたのが伊藤新叡王。本領を発揮し、大一番をものにした。