「エヴァ」制作のガイナックスが破産「ファンの皆様にたいへん申し訳なく存じます」

AI要約

アニメ制作会社ガイナックスが破産申立を行い、経営陣の運営ミスや負債の積み重ねが原因で経営難に陥った経緯が明らかになった。

20年に経営陣を刷新するも負債解消に至らず、債権回収会社からの請求訴訟を受け、破産申立を行うことを決定した。

元ガイナックス社員の庵野秀明監督が「カラー」社株主として関わり、債務解消に取り組んだが手遅れとなり、破産を避けられなかった。

 アニメ制作会社ガイナックスは7日、5月29日に東京地方裁判所に会社破産の申立を行い受理されたと発表した。1984年に設立。1995年にテレビ放送がスタートしたアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」が大ヒットした。しかし2016年にはエヴァの生みの親・庵野秀明監督が経営するアニメ制作会社「カラー」から、借入金1億円の支払いを求めて提訴されるなど資金繰り悪化が表面化していた。

 ガイナックス社はこの日、公式ホームページに「お知らせ」の文書を掲載。「いくつかのヒット作にも恵まれましたが、2012年ごろから見通しの甘い飲食店経営、無計画なCG会社の設立、運営幹部個人への高額の無担保貸付、投資作品の失注等、経営陣・運営幹部の会社を私物化したかのような運営により、経済状態が悪化していきました」と説明。当時の経営陣の作った多額の負債、ガイナックスの社名を冠した関連会社が多数設立された結果、大量の退職者が出てアニメーション制作機能を喪失。19年に就任した代表取締役が未成年者への性加害で逮捕され「完全に運営能力を喪失するに至りました」と経緯を振り返った。

 20年2月に経営陣を刷新。多額の借入や、アニメーション業界各社への債務不履行、作品にかかる権利関係の整備、資料の管理運用に取り組んできたが負債解消には至らず。今年5月に債権回収会社から債権請求訴訟の提訴を受け、「業務の継続は困難との判断」から破産の申し立てを行ったという。「十全に目的を果たすことができず破産を選択せざるを得なかったことは、債権者の皆様およびご協力いただいた各社様に、そしてファンの皆様にたいへん申し訳なく存じます。また、なによりもファンの方々からの40年間のご支援に心から感謝いたします」としている。

 また「カラー」社も公式サイトで声明を発表。庵野監督が2007年にガイナックスを退社し、現在は同社の株主であることを公表し「ガイナックス社の内情を把握、アニメーション業界内のスタジオや作家、クリエイター様への未払いだけでも解消をし、知的財産や資料の散逸を防ごうと、各協力会社と共に動いて参りました」と関わりを明かした。ただ債務状況はすでに手遅れで「弊社からの支援を視野に検討を致しましたが、旧経営陣、前代表取締役の債務も保障せねばならないという理不尽な状況に繋がり、十全に返済を厚くする事が叶いませんでした」と説明している。

 “古巣”の破産に「40年弱の歴史を持つアニメーションスタジオがこのような最後を迎えてしまい、残念でなりません」とした。なおガイナックス(GAINAX)の商標、称号はカラー社で取得管理、「新世紀エヴァンゲリオン」の著作権も保有している。