偶然じゃなかった? 歴史的アニメ映画3作が1984年に上映された理由

AI要約

1984年に上映された3つのアニメ映画についての要約:

1. 宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』は、科学文明崩壊後の世界を舞台に哲学的テーマを探る傑作。

2. 『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』は、TVアニメの劇場版で音楽やキャラクターデザインが光るSF作品。

3. 両作品には庵野秀明氏の参加があり、アニメ界に革新をもたらした。

偶然じゃなかった? 歴史的アニメ映画3作が1984年に上映された理由

 いまから40年前の1984年には、歴史に名を残す3つの映画が上映されました。いずれも、現在も人気の高い作品で、テーマ、演出、作画など、さまざまな面でアニメの水準を大きく引き上げました。なぜこの時代に、優れたアニメの劇場作品が次々と登場したのでしょうか?

 まず『風の谷のナウシカ』(1984年3月11日公開)は、後にスタジオジブリ作品で世界的名声を得る宮崎駿監督が手掛けた作品です。戦争により科学文明の崩壊後、異形の生態系に侵された世界に生きる主人公「ナウシカ」を中心とした物語が描かれました。

 作品世界は壮大で、強大な「蟲」や森を侵す胞子たちの脅威にさらされながらも、懸命にその日を生き抜こうとする人びとの姿は深い哲学的テーマをうかがわせ、アニメ史上でも重要な位置を占めている傑作です。後に『新世紀エヴァンゲリオン』などを手掛ける庵野秀明氏も制作に参加しており、「巨神兵」の登場シーンを手掛けたことでも知られています。

『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』(以下、愛おぼ/1984年7月7日公開)は、1982年に放送されたTVアニメ『超時空要塞マクロス』の劇場版で、人類と異星人の間で展開される戦争を描いたSF作品です。ヒロイン「リン・ミンメイ」を演じた飯島真理さんの歌唱曲や、新進気鋭時代の美樹本晴彦氏による美麗なキャラクターデザインなどで高い評価を得ており、アニメにおける音楽やキャラクターの魅力の重要性を示しました。

『マクロス』はTV版でも主力兵器である「バルキリー」の変形機構や、アニメーターとして参加した板野一郎氏が生み出した特殊な戦闘演出「板野サーカス」など、時代を飛び越えた斬新なシーンが多く見られた作品です。劇場版ではさらなるクオリティアップが図られており、アニメ界の「オーパーツ」と呼んでも過言ではない、ハイレベルな仕上がりとなっています。

『愛おぼ』にもやはり庵野氏が参加しており、二足歩行の兵器「デストロイド・モンスター」が出撃時に床を踏み抜くシーンを、3か月かけて作画したというエピソードが残されています。