山口智久、夏帆、出口夏希……俳優たちの「画期」となり得るドラマ『ブルーモーメント』災害から気象で救う異色テーマで光る演技

AI要約

「BLUE MOMENT(ブルーモーメント)」は、政府に新設されたSDM本部のリーダーを中心に描かれる異色のドラマで、自然災害に直面するメンバーたちの活躍が描かれる。

主演の山下智久をはじめとする豪華俳優陣が、各々の役柄で演技力を披露し、異なる災害に挑むSDMメンバーたちの姿が描かれる。

ドラマは緊迫感あふれる緊急事態や人命救助をテーマに、俳優たちの演技力が光る作品であり、将来に期待を持たせる内容となっている。

山口智久、夏帆、出口夏希……俳優たちの「画期」となり得るドラマ『ブルーモーメント』災害から気象で救う異色テーマで光る演技

 「BLUE MOMENT(ブルーモーメント)」(フジテレビ系、水曜よる10時)は、山口智久を災害から人命を守る、政府に新設されたSDM本部(特別災害対策本部)のリーダーの気象学者・晴原柑九朗(はるはら・かんくろう)役に配した異色のドラマである。

 大地震と大津波、豪雨など、巨大な自然災害に襲われている列島のなかでいま、憲法改正論議のなかで緊急事態条項が論議されようとしている。ドラマは、架空のSDMの本部を舞台にして、こうした危機管理体制について深く考えさせられる。物語は省庁横断的に人材を集めていきながら、SDMの体制を整えると同時にその成果を求められる。

 個性的な登場人物たちが団結しながら目的に向かう。同一の筆者による作品の出版数がギネスブックに記録されている、コミック「ONE PIECE(ワンピース)」(尾田栄一郎作)を想起させるかもしれない。また、この作品の作者である尾田氏がオマージュを捧げているといわれる映画「七人の侍」(黒澤明監督)を思わせる。

 「ブルーモーメント」の魅力もSDMに集まってくる俳優たちの演技にある。晴原(山下)の助手の雲田彩(くもた・あや)役に出口夏希、東京消防庁から出向してきたレスキュー隊員の園部優吾(そのべ・ゆうご)役に水上恒司、緊急医療を担当する脳外科医の汐見早霧(しおみ・さぎり)役に夏帆、晴原の婚約者の気象学者で5年前の関東豪雨のなかで亡くなった、園部灯(そのべ・あかり)役に本田翼……。いずれも主演級の俳優たちである。

 ドラマは、毎回異なる災害にSDMのメンバーが直面して、それぞれの得意の技量を発揮して解決する。雪崩に遭難した電力関係会社の従業員の救助、レスキュー隊長が救助した人と滑落した事件、竜巻が迫った人命救助……。

 緊急事態そのものが胸に迫ってくる。筆者がこのドラマに興味を引いているわけは、いずれこのドラマがTVerなどで視聴者数の数を増やすとともに、俳優陣にとっても演技能力の画期となると考えているからだ。キャストの作品の過去と現在ばかりではなく、未来が観えるような感覚に襲われる。

 主演の山下智久は、ジャニーズ事務所から2020年に独立した。この事務所に対するテレビなどの“忖度”が働いていた時代には、冒険とみえた。しかし、コミカルな不動産営業マンを演じた「正直不動産」(NHK、season1・22年、season2・24年)や海外活動など幅を広げた。

 今回の作品はチームリーダーとして組織をけん引する。亡くなった婚約者が忘れられずに死の謎を追う。この先に新たな配役が見えそうである。

 助手役の出口夏希は、Netflixの配信ドラマ「舞妓さんちのまかないさん」(是枝裕和監督、23年)のなかで、青森から京都の館で舞妓さんになろうとする可憐な少女役で注目された。ドラマ「アオハロイド」(WOWWOW、season1・23年、season2・24年)など美少女役でも目立った。山下智久に真っ向から意見する姿で娘役から脱皮する未来が見える。

 医療班を率いる夏帆は、日本を代表する女優のひとりであることはいうまでもない。そして、つねに俳優として脱皮を繰り返す稀有の俳優でもある。

 映画「箱入り息子の恋」(市井昌秀監督、13年)では盲目のお嬢様が、さえない公務員役の星野源と切ない恋に落ちる。映画「海街diary」(是枝裕和監督、15年)では、綾瀬はるかと長澤まさみ、広瀬すずの4姉妹の3女として自由でゆったりとした暮らしを求める女性役を好演した。

 今回は優秀な脳外科医だったのが、病院の屋上から飛び降り自殺を図ろうとした少女を救った際に、右腕を痛めて脳外科医の復帰を断念。SDMで新たな人生をみつける。