娘を扶養に入れようとしたら会社に拒否された!共働き夫婦の扶養、どちらに入れるべき?

AI要約

転職先の会社で娘を扶養に入れようとしたら、扶養の認定基準についてトラブルが発生。

税法上と健康保険の観点から扶養のルールを解説。

夫婦共同扶養の場合、年間収入の差額や1割以内の基準を考慮する必要がある。

娘を扶養に入れようとしたら会社に拒否された!共働き夫婦の扶養、どちらに入れるべき?

 企業の顧問社労士として、数多くの労務問題を解決してきたカタリーナ。オンラインのよろず労務相談には、経営者・労働者を問わず、さまざまな相談者が訪れる。本日の相談者は、近く転職予定という男性(37)。入社関連の手続きで、娘を扶養に入れようとしたところトラブルになりかけたというが……。

● 転職先の会社で、娘を扶養に入れようとしたら……

 カタリーナ 「こんにちは!社労士のカタリーナです。鈴木圭人さんね。今日はどんなご相談かしら?」

 鈴木 「来月、転職することになったんです。それで、必要書類を転職先に提出して、3歳になる娘を僕の扶養に入れようとしたら、できないと言われてしまって。もうビックリですよ、そんなことありますか?」

 カタリーナ 「まあまあ、落ち着いて。共働きの場合、あり得る話よ。もしかしたら、入社書類に奥さんの年収を書いた覚えはある?」

 鈴木 「はい、妻も別の会社で働いていますからね。ただ、娘はこれまで僕が扶養していて、保険証も会社が手配してくれましたよ」

 カタリーナ 「なるほど。これまでは、あなたが娘さんを扶養していたのね。扶養には大きく社会保険と税法上の2種類があって、考え方がちょっと違うのよ」

 鈴木 「どういうことですか?」

 カタリーナ 「税法上では、同じ世帯に所得者が2人以上いる場合、重複して申告しない限り、誰の扶養に入れても構わないの。でも健康保険の場合、夫婦が自由に選べるわけじゃないのよ」

 鈴木 「えっ、そうなんですか?」

● 夫婦共同扶養で被扶養者の認定を受けるためのルールとは

 カタリーナ 「夫婦双方に収入があって共同して子どもを扶養する場合、これを『夫婦共同扶養』というけれど、被扶養者の認定を受けるには一定のルールが設けられているの」

 鈴木 「どんなルールですか?」

 カタリーナ 「原則として、年間収入の多い方が扶養するというルールよ。夫婦ともに会社員で健康保険組合など被用者保険に加入している場合、過去、現時点、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだ額を年間収入として考えるの」

 鈴木 「じゃあ、僕の方が低いからNGだったということですか?」

 カタリーナ 「単純にそういうわけでもないのよ。夫婦で同じくらいの年収ということもあるでしょう?差額が年間収入の多い方の1割以内の場合、主として生計を維持する者として届け出た人の被扶養者にできるの」

 鈴木 「ややこしいなぁ」

 カタリーナ 「例えば、あなたの年間収入が500万円、奥さんが540万であれば、差額は1割以内だから相手より年間収入が低くても届出は認められるってわけ」

 鈴木 「ということは、今回ダメだと言われたのは、年間収入の差額が1割を超えていたからか。よく見ているなぁ」

 カタリーナ 「健康保険組合は扶養の認定に関してしっかりとチェックしているから、事前に会社で確認をしているのでしょうね。届出後に不認定となるより、よっぽどいいわ」

 鈴木 「そうですか。世帯主が扶養するものだとばかり思っていましたよ」

 カタリーナ 「あまり知られていないけれど、被扶養者の認定基準が明確化されたのは2021年8月から。それまでは、『前年分』の年間収入が多いほうの被扶養者とすることになっていたの。夫婦同じくらいの場合も差が1割以内という基準はなかったから、ちょっとあいまいなところはあったわね」

 鈴木 「そうだったんですね。もし、夫婦の年間収入が同じくらいか1割以内差だった場合、どちらの扶養にしたほうがお得とか、ありますか?」