悪意ゼロの「老害」と上手につきあう2つのコツ、お互いに歩み寄れる「妥協点」は必ずあるはず

AI要約

医学博士で医師の平松類氏によると、老害の人が招くトラブルは悪意からではなく、無意識の行動から生まれることが多い。

高齢男性がジムで若者に見当違いのアドバイスをする事例を通じて、誤った助言がかえって迷惑をかけることがある。

若者が正直な心境を持ちながらも、適切な対応を取ることに悩む場面が示唆されている。

悪意ゼロの「老害」と上手につきあう2つのコツ、お互いに歩み寄れる「妥協点」は必ずあるはず

「ついつい『いや』と答えることがある」「気がつくと自分の話をしている」「いつの間にか大声になっていることがある」。どれかに心当たりがあるあなたは、立派な「老害」予備軍かもしれません。ですが、そうした「老害の人」が招くトラブルの多くは、けっして悪意から生まれてくるわけではないと、医学博士で医師の平松類氏はいいます。

※本稿は平松氏の著書『「老害の人」にならないコツ』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

■見当違いのアドバイスはかえって迷惑

 私は高齢者に関する情報を得るために、チャンスがあれば性別や年代を問わず、いろいろな人から話を聞くようにしているのですが、先日は、とあるご縁で知り合った20代男性のNさんから、次のようなエピソードを聞かされました。

 Nさんは1カ月ほど前から、家の近くにあるジムに通い始めました。

ジム初心者ながら、事前にネットでトレーニングの基礎知識を学び、別のジムでインストラクターをやっている大学時代の友人からアドバイスをもらい、万全の態勢を整えていました。

 数回利用して、自分のペースをつかめてきたし、少しずつトレーニングの効果を実感できるようにもなったそうです。そんなある日のこと。常連さんたちからOさんと呼ばれている高齢男性が、Nさんに話しかけてきました。

 「違う違う。そのマシンは20回2セットよりも、10回3セットのほうが効果的なんだよ。ほら、やってみな。お兄ちゃん、初心者だよな?」

 そのほかにも、使用するマシンの理想的な順番や、自分に合ったベストの負荷(重り)の探し方など、次から次へと助言をしてきたといいます。Nさんからは、何も尋ねていないのに。

 Oさんは満面の笑みを浮かべ、「わからないことがあれば、なんでも俺に聞きな」と“ダメ押し”をしてきました。

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 「Oさんのアドバイスが的確かつ、僕自身も納得のいくものであれば問題なかったのですが、どれもこれもピントがズレている印象で、現役インストラクターの友人の話と違う点も多々ありました」

 これがNさんの正直な心境です。だからといって、状況的に無視をするわけにはいきませんし、「それは間違っています」とシビアに反論することもできません。