線状降水帯…気温2℃上昇で1.3倍に 気象研究所が試算 九州でナゼ?“明け方”被害多く【武居信介の防災学】

AI要約

気象庁が翌日から運用開始予定だった「半日前予報」を前倒しして南九州に大雨警報を発表

府県単位での情報発表に切り替えることで、地域ごとの警戒を明確化

線状降水帯の予測は難しく、大雨による被害に備えることが重要

線状降水帯…気温2℃上昇で1.3倍に 気象研究所が試算 九州でナゼ?“明け方”被害多く【武居信介の防災学】

気象庁は5月27日、本来は翌日から運用を開始する予定だった、線状降水帯が発生する可能性を府県単位で半日前に伝える「半日前予報」について、急遽前倒しで運用することを決め、さっそく午前11時過ぎに鹿児島県(奄美地方を除く)と宮崎県に予測情報を発表しました。南九州では24時間の雨量予測が300ミリに達するなど、前線に伴う大雨が予想されたために運用開始を前倒しすることになったのです。

これまで気象庁は、線状降水帯の情報は「四国」や「東海」などの地方単位で発表してきました。しかし、静岡県や愛知県の太平洋側で大雨が予想されても、地方単位で情報を出すと、岐阜県や遠く離れた三重県でも警戒が必要になってしまっていたのです。

このため、27日からは府県単位による発表に切り替えました。対象エリアを府県単位にしぼりこむことで、大雨の危険性が高まることを、より明確に地域の人たちに伝えるねらいがあるのです。

5月27日~28日にかけての大雨では、鹿児島や宮崎に加えて高知県、徳島県、岐阜県、愛知県、静岡県にも相次いで線状降水帯の半日前予測情報が発表されましたが、結局、線状降水帯の発生まで至るケースはありませんでした。

とはいえ、鹿児島県の肝付前田では3日間で302.5ミリの総雨量を観測、高知県の香美市繁藤では330ミリ、長野県の王滝村御嶽山では347.5ミリもの総雨量を観測しました。

線状降水帯の発生の予測は難しく予測が外れるケースも多くありますが、線状降水帯が発生するまでに至らなくても、情報が発表された場合にはほぼ必ず大雨が降るので災害への警戒が重要になります。

今年もいよいよ大雨による災害の季節がやってきました。

大雨で特に注意しないといけないのがこの線状降水帯の発生で、集中豪雨の中でも線状降水帯が発生すると家屋が倒壊したり人が亡くなったりする被害が多くなることが実際の統計でも指摘されています。

線状降水帯とは、列をなした積乱雲群が数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞するもので、長さは50~300キロ程度、幅は20~50キロ程度の広さで強い雨を降らせ続けるものです。