濁点にこだわる「あだち広報」、自転車盗・季節の花・民間交番…特集に合わせてデザイン250種

AI要約

自治体の行政情報を住民らに知らせる広報紙。様々な工夫が施され、足立区の「あだち広報」では表紙タイトルの“だ”の濁点部分が毎号デザインされている。

今回の表紙デザインは、自転車盗の注意喚起特集に合わせて人と自転車のデザインが使用された。報道広報課の職員たちがデザインを担当し、毎号の特集に合わせたアイデアを具現化している。

11年間で約250種類の濁点のデザインが打たれ、季節感や地域性を表現。記事の内容に合わせた工夫が凝らされた表紙デザインが特徴的。

 自治体の行政情報を住民らに知らせる広報紙。目を引く写真やデザインなど様々な工夫が施され、自治体ごとの個性が光る。足立区が月2回発行する「あだち広報」もその一つ。意外と知られていないが、表紙タイトルの「だ」の濁点部分が、毎号内容に合わせてデザインされている。「広報紙を手に取るきっかけにしてほしい」との思いで、報道広報課の職員たちが10年以上試行錯誤を続けてきた。(斉藤新)

 「わ、わたしの自転車がない…」。今年2月25日号のあだち広報の表紙。「だ」の文字を目で追うと、濁点の二つの点が人と自転車のデザインだ。止めたはずの自転車が元の場所から跡形もなく消え、持ち主が慌てふためく様子が描かれている。

 なぜ、このようなデザインなのか。同じページの記事を読むと答えはすぐにわかる。この号は昨年の区内の刑法犯認知件数が、2年連続で増加したことを伝える特集。同区では自転車盗の割合が最も多く、3割を占めた。半数が無施錠で、注意を呼びかけた。

 区の広報紙は、1948年から発行されている。濁点のデザインが最初に変わったのは、2013年4月25日号。区が新しく委託した製作会社が、濁点に二片の桜の花びらをあしらったデザインを手がけたという。「面白いので続けてみては」。近藤弥生区長のそんな一言がきっかけで、同年6月10日号から現在まで続いているという。

 デザインを担当するのは、報道広報課広報係の20~30歳代の職員5人。毎号の特集に合わせて案を考え、イメージを製作会社に伝えている。その後、できあがった刷りを見ながら意見を出し合い、よりよいデザインに仕上げていくという。

 11年間で紙面を飾った濁点のデザインは、約250種類。打ち上げ花火や紅葉、雪だるまなど季節を感じさせるものもあれば、地域に民間交番が開設したことを伝える号では、童謡をヒントに犬のおまわりさんと迷子の子猫をデザインしたものもある。パソコンに偽の警告画面を表示して金銭などを要求する「サポート詐欺」を取り上げた記事では、パソコンと羽の生えた紙幣をあしらい、お金がだまし取られる様子を表現した。