就寝中の長男の首絞め殺人未遂、シングルマザーに執行猶予判決…「母親だけに責任を負わせられない」

AI要約

福岡地裁で行われた裁判で、母親が長男の首を絞めて殺害しようとした事件の判決が下された。

懲役3年、保護観察付き執行猶予4年の判決が言い渡され、検察側の異例の対応も注目された。

母親の背景や状況が裁判で取り上げられ、執行猶予が付けられた理由が明らかになった。

 就寝中の小学生の長男の首を絞めて殺害しようとしたとして、殺人未遂罪に問われた県内の無職の母親に対する裁判員裁判の判決が30日、福岡地裁であった。冨田敦史裁判長は「母親だけに責任を負わせることはできない」として、懲役3年、保護観察付き執行猶予4年(求刑・懲役3年、保護観察付き執行猶予)を言い渡した。公判では、検察側が求刑で執行猶予を求める異例の対応を取っていた。

 判決によると、母親は昨年10月、自宅で長男の首をコードで絞めたが、自らの意思で中止し、約1か月の頭部うっ血などの傷害を負わせた。

 判決で触れられた経緯によると、シングルマザーだった母親は、軽度の知的障害のある長男を育て、病気を抱える両親を介護しながら仕事や家事をしていた。2022年以降に両親が相次いで施設に入り、不安や孤独感を深めて昨年8月に退職後、障害児の養育に関する複数の関係機関に相談したが期待する回答は得られず、自殺を決意。長男を1人残しておけないと考え首を絞めた。

 冨田裁判長はこうした状況を踏まえ、「社会内での更生の機会を与えるのが相当」と執行猶予を付けた理由を述べた。