「相当に重い不注意による人災だ」教師3人に禁固2年…高校生ら8人死亡の那須町・雪崩事故で実刑判決 遺族らは涙

AI要約

栃木・那須町で高校生など8人が雪崩に巻き込まれ死亡した事故の裁判が実刑判決が言い渡された。

遺族は人災として教師らの責任を問い、判決では教師3人に禁固2年の実刑が言い渡された。

遺族はこの事故を教訓として、安全確認の在り方が変わることを望んでいる。

「相当に重い不注意による人災だ」教師3人に禁固2年…高校生ら8人死亡の那須町・雪崩事故で実刑判決 遺族らは涙

7年前、栃木・那須町で高校生など8人が雪崩に巻き込まれ死亡した事故。自然災害による事故なのか、それとも、引率した教師による人災なのか。注目の裁判で実刑判決が言い渡された。

2017年3月、栃木・那須町のスキー場で登山講習中に雪崩に巻き込まれ、県立大田原高校の生徒ら8人が死亡。過去20年で最大規模の雪崩事故となった。

16歳で生涯を終えた奥公輝(おく・まさき)さんの父・勝さんは、事故を風化させないため、登山の危険性を伝える動画を自ら制作し、SNSで発信している。

そこには雪崩事故を巡り、どうしても譲れない思いがあった。

雪崩で息子を亡くした奥勝さん:

自然災害でも何でもなく、雪崩事故が起きる場所にわざわざ連れていかれた“人災”だと思っている。

雪崩事故を巡っては、講習会の責任者で山岳部の顧問だった猪瀬修一被告(57)ら教師3人が、業務上過失致死傷の罪に問われた。

春休みに起きた雪山の悲劇は、天災か人災か?事故直後の会見で、猪瀬被告は「その時には絶対安全であると判断して歩行訓練に入った」と話していた。

5月30日、迎えた司法の判断が下される判決の日。

これまでの裁判で、検察側は「当たり前の安全対策をすれば事故は防げた」として3人に禁固4年を求刑。一方、弁護側は「雪崩は予見できなかった」として無罪を主張していた。

そして5月30日午後、宇都宮地裁が下した判決は、猪瀬被告ら教師3人に禁固2年の実刑となった。法廷には遺族らがすすりなく声が響き、ハンカチで目元を拭う様子が見られた。

宇都宮地裁は判決で、引率していた教師らの過失について「雪崩を原因とする死傷事故が発生することは容易に予想できた。講習会は学校教育の一環として安全を最優先に実施すべきだったのに、漫然と訓練を実施した過失があった」と認定。

その上で禁錮2年とした理由について「8人の命が奪われた結果は非常に重大。相当に重い不注意による人災だ」と述べた。

5月30日午後4時過ぎに行われた会見では、人災だと認められたことについて、勝さんが涙する場面があった。

雪崩で息子を亡くした奥勝さん:

ずっと私たちが訴えてきたことです。人災であったと…。それをちゃんと読み上げていただいた。なので涙があふれてきた。

遺族は「部活動は生徒のためなら何をしても許されるということがないように、この事故を教訓に、安全確認の在り方が変わってほしい」と話していた。

(「イット!」5月30日放送分より)