静岡知事選は県西部と中部の対決構図 東部は政治とカネで逆風も自民の推薦候補が票上回る

AI要約

静岡県知事選が無所属新人と自民推薦の候補者との一騎打ちとなる中、地域ごとの得票傾向が大きく異なり、地域性が影響した選挙戦となった。

自民は逆風を考慮して政党色を薄めた選挙戦を展開し、一方、立憲民主党は党幹部が駆け付けて応援した。

選挙結果は東部と西部で異なり、次期衆院選の動向を占う試金石となった。

静岡知事選は県西部と中部の対決構図 東部は政治とカネで逆風も自民の推薦候補が票上回る

川勝平太前知事の辞職に伴う26日の静岡県知事選は無所属新人、元浜松市長の鈴木康友氏=立憲民主、国民民主推薦=が、無所属新人、元副知事の大村慎一氏=自民推薦=との事実上の一騎打ちを制した。川勝氏が静岡工区の着工を認めなかったリニア中央新幹線への対応を始め、両氏の政策に大きな違いが目立たない中、選挙戦は両氏が地盤とする県西部と県中部でライバル心に火をつけた側面があった。

■オール静岡を掲げたが

「地域の色が出た選挙戦になってしまった」

27日午前。静岡県選出の自民党衆院議員は17日間の選挙戦をこう振り返った。

選挙戦は浜松市長を4期務め、知名度の面で優位に立つ鈴木氏を大村氏が猛追する展開だった。両陣営はともに「オール静岡」を掲げたが、県中部・静岡市と西部・浜松市で両氏の得票傾向に違いが生じる結果となった。

静岡市の得票率は大村氏が61ポイントで、29ポイントの鈴木氏にダブルスコアを付けた。逆に浜松市は鈴木氏が66ポイントで大村氏の25ポイントに大差をつける形となった。

自民陣営の関係者は選挙戦を振り返り「県選出議員も鈴木氏の後ろ盾となっている静岡財界の重鎮を念頭に批判のトーンが強かった部分もある」と反省を口にした。衆院静岡5区選出の細野豪志元環境相も27日未明、音声投稿サイトで大村氏陣営について「西部・浜松への対抗意識をむき出したにしたところがあった」と述べ、鈴木氏の陣営についても「浜松の代表だと色を出していた人もいて、これは良くない。オール静岡県が実現できるかどうかが鈴木知事の課題になる」と語った。

■草の根に徹した自民

自民は派閥政治資金パーティー収入不記載事件による逆風を考慮して、県外の応援弁士の投入を避けるなど政党色を薄めた選挙戦を展開した。一方、立憲民主党は泉健太代表や野田佳彦元首相、辻元清美代表代行といった党幹部らが鈴木氏の応援に相次いで駆け付け、自民党の政治とカネの問題を批判した。

静岡市と浜松市のライバル対決の影で県東部の情勢は次期衆院選の「試金石」の側面もあったという。結果は富士市や沼津市など東部11市で大村氏はいずれも鈴木氏を上回った。11市合わせると鈴木氏が41ポイント、大村氏が49ポイントだった。