さいたま市、市有地を不適正売却 職員が関与か 刑事告訴も視野

AI要約

さいたま市は、土地区画整理事業で市有地が不正に売却された事実が発覚。関係者の処分や刑事告訴が検討される。

問題の土地は、調整用地として取得した市有地であり、市の意思決定や決裁なしに売却された。

市は問題の原因を調査し、市長印の可能な偽造や再発防止策を検討するとしている。

さいたま市、市有地を不適正売却 職員が関与か 刑事告訴も視野

 さいたま市は24日、同市中央区で進めている土地区画整理事業を巡り、必要な手続きなしに契約書が作られ、市有地が勝手に売却されたと発表した。事業を所管する部署の男性職員が関わった可能性があるとみて、市は庁内に調査検討会議を設置して原因を調べるとともに警察に相談。関係者の処分や刑事告訴も視野に入れる。

 問題が発覚したのは、市が進める「与野駅西口土地区画整理事業」のエリア内にある土地。同日、記者会見した中島栄一まちづくり推進部長らによると、土地は同事業の調整用地として取得したが、市の意思決定や決裁がないまま売却可能な財産に変更され、2024年1月に契約書が作成され売却された。契約書に書かれた代金は市に振り込まれた。

 4月に定期監査のため書類を確認したところ発覚した。市は、事業を所管する与野まちづくり事務所の男性職員が契約に関わった可能性があるとみて話を聞き、他の職員が関係していないか調査する。6月末までに「一定の方向性は出したい」(中島部長)としている。男性職員は現在、別の部署で通常勤務をしているという。

 契約書には市長印が押されていたが、担当部局の決裁などを経ず、いきなり契約書に押印することは考えにくいといい、市長印偽造の可能性も含め調べる。契約の相手方には経緯を説明し、土地の返還を求め協議する。

 中島部長らは会見で「関係者、市民におわび申し上げる」と謝罪。清水勇人市長は「市政への信頼を著しく損ねる事案。発生原因の調査と再発防止策を検討するとともに、厳正に対処する」とのコメントを発表した。

 同事業は、JR与野駅西口の約8・3ヘクタールが対象で33年度に完成予定。市は売却された土地の詳しい場所や面積、契約相手、金額を明らかにしていない。【増田博樹】