獣害は深刻化、狩猟者は減る一方…ハンター育成へわな猟も練習できる全国初の射撃場完成

AI要約

兵庫県は狩猟者不足を解消するため、県立総合射撃場を開設する。施設は射撃練習場とわな猟練習場を備え、全国初となる。

県内の狩猟者は高齢化が進んでおり、狩猟者数の減少によりイノシシやシカによる被害が増加。新施設の整備が必要とされていた。

施設には射撃施設やわなフィールドがあり、狩猟者の技術向上や若い世代の育成に繋がると期待されている。

 兵庫県は6月1日、狩猟者の育成を目指す「県立総合射撃場」を三木市吉川町に開設する。県内では狩猟者不足が続き、シカやイノシシなどによる農作物の被害は2022年に約4億7000万円に上るなど深刻化している。射撃練習場だけでなく、わなを使った猟の練習場も備えた全国初の施設で、県は「技術の向上にもつなげ、狩猟者不足を解消したい」としている。(喜多河孝康)

 県によると、22年度の県内の狩猟者登録数は8088人で、ほぼ半数が60歳以上と高齢化が進む。銃の猟免許所持者も2842人で、約40年前から7割も減少した。

 県内では狩猟者が減ったことでイノシシやシカの生息数が増え、人が襲われてけがをしたり、農作物が食べられたりする被害が多発。近年の農作物被害は年5億円前後で高止まりしており、半数以上はシカとイノシシによる被害となっている。このため、県は19年、狩猟者を育成する拠点として、新施設の整備を決めた。

 新施設は80ヘクタールの敷地に、射撃施設(12ヘクタール)と「わな猟」を学べる森「わなフィールド」(68ヘクタール)を整備した。

 射撃施設は、屋内に、標的射撃を練習する「ライフル射撃場」や「空気銃射撃場」、子どもを含めた初心者が光線銃で疑似体験できる「ビームライフル場」などを開設。屋外には、鳥撃ちを想定した「クレー射撃場」も用意した。

 また、わなフィールドでは、シカやイノシシの通り道にワイヤロープなどを仕掛け、生け捕りにする「くくりわな」などの使い方を学ぶ研修を実施する予定だ。

 新施設の開設に、県猟友会からは歓迎の声が上がる。県内には他にも民間の射撃場があるものの、いずれも小規模で、技術向上のために県外の施設へ通う狩猟者が多かったという。

 県猟友会の橋本景毅会長は「交通アクセスもよく、地元に施設ができるのは大きな一歩だ。若い世代を中心に会員数の増加につなげられたらうれしい」と期待を寄せている。