琵琶湖一周して鳥を数えたら何と…徒歩11日間ビワイチの記録展示

AI要約

池田昇平さん(32)が11日間かけて琵琶湖一周を行い、最終的に100種以上の野鳥を6万5372羽観察した。

池田さんはビワイチを通じて、琵琶湖周辺の多様な鳥の生息環境を体験し、豊かな自然を再認識した。

湖北野鳥センターでは、池田さんの記録を特別展示中で、7月15日まで一般公開されている。

琵琶湖一周して鳥を数えたら何と…徒歩11日間ビワイチの記録展示

 野鳥を数えながら徒歩で「ビワイチ」。湖北野鳥センター(滋賀県長浜市湖北町今西)の職員、池田昇平さん(32)が計11日間を掛けていっぷう変わった企画を達成し、11日から同センターで琵琶湖を一周した全224キロの記録を特別展示している。池田さんは「最初は修業のイメージだったが、多くの鳥が見つかり、楽しくて意外に歩けた」と振り返る。【長谷川隆広】

 同センターでは年間パスポート購入者向けの会報を月1回発行しており、そこに掲載する連載企画として池田さんが考えた。「琵琶湖を一周したらどれほどの鳥に出会えるか、県内に住むバードウオッチャーなら誰でも一度は想像すると思う。『想像』を『現実』にしようと挑戦した」と話す。

 会報を読んだ人が同じルートをたどれるように、地図や公共交通機関とのアクセスなどを事前によく検討し、琵琶湖一周を11区間に分割。どの区間も20キロ前後の道のりで、スタートとゴール地点には必ず電車かバスでアクセスできる場所を選んだ。「ビワイチ」の基本は反時計回り。しかし、南向きとなる湖西側では、特に午前中が逆光となって鳥の姿が見にくくなるため、時計回りに歩くようにルートを工夫した。

 2022年11月10日が初日だった。長浜市公園町の豊公園をスタートし、同市木之本町のJR木ノ本駅をゴールとする約26キロ。目視で一羽一羽、スマホアプリのカウンターを使って数え、大群の場合はブロック分けして一つのブロック内の野鳥を数えてからブロック数を掛け合わせる手法を使った。

 双眼鏡や600ミリのズームレンズを付けたカメラなど装備も重く、途中で足にできたまめがつぶれるハプニングもあったが、最初の区間で68種8115羽の野鳥を見つけることができた。結果的に11区間の中で野鳥の種類が1番多く、池田さんは「この地域は湖岸に手つかずの自然が多く残っており、多様な鳥の生息環境が整っているからだ」と説明する。

 最も多い数の野鳥を見つけたのは8日目。大津市の瀬田の唐橋から守山市の琵琶湖大橋東側までの約24キロだった。水鳥だけで1万羽を超え、猛禽類(もうきんるい)なども含めて総数1万5247羽を数えた。

 貴重な場面を目にすることも多かった。6日目には、琵琶湖大橋近くでコハクチョウを発見。池田さん個人としては琵琶湖内でここまで南で見たのは初めてで、驚いたという。7日目には大津市内の住宅街でハヤブサがドバトを狩る場面にも遭遇した。23年2月22日に豊公園で無事最終ゴール。それぞれ別の日に各区間を歩いたため、足掛け4カ月を要した。

 最終的に見つけた野鳥は100種、6万5372羽だった。

 野鳥の種類で1番多かったのは黒い体に白いくちばしが印象的なオオバンの2万1685羽で、2番目のキンクロハジロ8600羽の2倍以上だった。11区間全てで50種類以上が見つかっており、琵琶湖が恵まれた探鳥地であることを裏付ける結果となった。

 池田さんは「どこにどんな鳥がいるか、情報としてはほぼ分かっていたが、実際に目で見て確認できたのは大きい。もっと多くの鳥がいるはず。もし同様の『ビワイチ』をする人がいるなら今回の数字を超える鳥を見つけてもらいたい」と話した。

 会報には23年5月号~24年4月号で連載。特別展示では連載内容だけでなく、各区間の歩き方ガイドも追加し、パネル14枚にまとめて紹介している。7月15日まで。同7日午後2時から展示解説を予定。開館午前9時~午後4時半。高校生以上200円、小中学生100円(長浜市内の小中学生は無料)。同センター(0749・79・1289)。