告示まで1カ月 現職×新人2名の三つどもえの戦いに ヒートアップする前哨戦の動きを追う【鹿児島県知事選】

AI要約

鹿児島県知事選挙が告示され、現職と2人の候補者が三つどもえの戦いを展開している。

現職の塩田康一氏は地元での事務所開きを行い、支持を呼びかけている。

新人候補である米丸麻希子氏は知名度の向上に努めつつ、体育館計画を巡る議論を展開している。

告示まで1カ月 現職×新人2名の三つどもえの戦いに ヒートアップする前哨戦の動きを追う【鹿児島県知事選】

任期満了に伴う鹿児島県知事選が6月20日に告示される。2期目を目指す現職・塩田康一氏と元自民党県議・米丸麻希子氏に加え、市民団体の共同代表・樋之口里花氏が名乗りを上げ、三つどもえの戦いとなった。選挙の前哨戦が熱を帯びる中、各候補の動きを追った。

5月12日、2期目を目指す現職の塩田康一氏(58)が、鹿児島市で事務所開きを行った。

塩田康一氏:

一人一人のお力を私に賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます

会場には塩田氏の推薦を決めた自民党の国会議員や県議に加え、2020年の前回選挙で他の候補者を応援した人たちの姿もあった。

さらに前回の選挙で塩田氏に敗れた前知事で衆議院議員の三反園訓氏も会場を訪れたが、握手は交わしたものの目を合わせることはなかった。

塩田氏は県内各地で事務所を構え、着々と地盤を固めている。4年前はなかった組織によるサポートを本人も実感し、「前回よりも『応援したい』という方が増えている感じがする」と語った。

公務の合間を縫って、週末を中心に各地を回り1期4年の実績を強調している塩田氏は、官僚時代に培った豊富な人脈について、「ちょうど同年代が各省庁に多いから、そういうところにも行きながら、国からの予算を引っ張ってくることも私の重要な役目」と強みをアピールした。

大型連休中、塩田氏は種子島を訪れた。行動を共にしたのは、自民党総務会長で鹿児島県連会長の森山裕氏だ。「この人が知事を引き続き務めれば鹿児島は確実に発展していける」と話す。

保守王国・鹿児島で自民党の手厚い支援を受ける塩田氏だが、政治資金パーティーの裏金問題による逆風を懸念する声もある。

今回の戦い方について、塩田氏は「政党や企業・団体の組織的な活動とこれまで草の根的な支援活動、これを『車の両輪』の形でしっかりと回しながら県民一人一人の支援の輪を広げていきたい」と語る。

新人で元自民党県議の米丸麻希子氏(49)は最大の課題を「知名度の低さ」として、4月以降、休みなしで各地を回り自身の考えを訴えている。

小雨が降る5月1日、49歳の誕生日に米丸氏は鹿児島市でつじ立ちを行った。

米丸氏が計画に反対する新たな総合体育館の建設予定地で、鹿児島市のウォーターフロントにあった商業施設・ドルフィンポートの跡地だ。

米丸麻希子氏:

(総合体育館整備費として当初予算に計上されている)313億円は、半年間で68億円も上がった。お金をどうやって使うかを県民に考えていただきたい

この“体育館計画”を最大の争点としたい米丸氏だが、各地で開く「語る会」の内容に“ある変化”がうかがえる。

米丸麻希子氏:

「鹿児島県とは何ぞや?」というのが伝えることができていない。しっかりブランド戦略をやっていきたい

5月19日、阿久根市の会で米丸氏が体育館問題に触れたのは1時間のうち10分程度だった。

体育館に割く時間を減らし、民間企業の経営者の視点から県政の課題について話すボリュームを増やしている。

米丸氏は「地域によって望んでいることが違うので、幅広い話をするようになっている」と語る。

空いた時間を見つけては、大票田の鹿児島市でつじ立ちを行っているほか、イベントで県民と触れる機会を増やし、組織に頼らない「草の根」の活動を続ける考えだ。

一方、元自民党県議の米丸氏の語る会には自民党関係者が訪れることもあるという。

大隅半島・垂水市の会でも、撮影は断られたものの、自民党の元県議の姿があった。

保守分裂の可能性もはらむ中、自民党県連の森山会長は「自民党で一緒にやってきた県議だから色々な思いはあるが、ここは割り切って対応せざるを得ない」と心境を語る。