人類は隣人の騒音トラブルひとつ解決できない――事態は深刻、軽視されてはならない

AI要約

友人の息子家族が隣のマンションからのテレビの音で困っている

隣人トラブルについて考える

札幌市で近所の住民を威嚇する男が逮捕される

 (勢古 浩爾:評論家、エッセイスト)

 久しぶりに会った友人に、こういう話を聞いた。

 かれの息子家族(妻、小2の娘1人)は東京のマンションに住んでいるのだが、最近、隣のマンションの一室から、テレビの音が聞こえるようになり、耳障りでしょうがないのだという。

 クーラーがないわけがないはずなのに、どういうわけか窓を開けっぱなしにしているらしく、夜の12時近くまで聞こえるらしい。

 ただ週に2、3度で、時間も断続的なので、いまのところ我慢しているのだという。しかし、やはり文句をいったほうがいいかな、というのだ。

 こういうのが困る。

 ただ、短い時間とはいえ、それを我慢することはおかしい。毎日静かなのがあたりまえなのだから。

 だが軽々に、クレームをつけたほうがいい、とはいえない。わたしが当事者だとしても、どうしたらいいか、ちょっと考えが浮かばない。

 こういう問題で一番いけないのは、加害者に直接いうことだとされている。「逆ギレ」されてどんな被害を受けるかもしれないからである。

 アパートやマンションに住んだことがある人なら、いや一戸建てに住んでいる人でも、隣人・隣家となんらかのトラブルを経験したことがある人は多いのではないか。

■ 周囲を威嚇する迷惑男、逮捕されたものの…

 こういう記事があった。今年の7月だ(「440回の嫌がらせと罵声…近隣住民の迷惑行為は遠ざけられない? 弁護士が語る「被害者が引っ越すことが多い」実情」、SmartFLASH、2024.07.20)。

 札幌市の無職の56歳の男が逮捕された。

 サングラスをかけ、シャツの前をはだけたこの男は、この3年間、「おらあ! ふざけんなよ、お前!」などと怒鳴り声をあげながら、近所の家のチャイムを鳴らし、たばこを投げつけ、クラクションを鳴らしたりと、昼夜を問わず、近隣住民を威嚇しつづけたという。