「若い子は目を覚まして欲しい」ホストに「洗脳」され、風俗で稼いだ2億円を溶かした30代女性の後悔

AI要約

アオイさんは、10年弱で2億円もの大金をホストに貢いできた経験を持つ女性であり、その理由や現在の状況について率直に語っている。

彼女は担当ホストに完全にコントロールされ、生活費を管理される状況にあり、身体を売って稼いだお金のほとんどをホストに費やしていた。

現在はホストから離れたものの、過去の出来事により生活にハリがなく、稼いだお金を使う目的も見つからず無気力な日々を送っている。

「若い子は目を覚まして欲しい」ホストに「洗脳」され、風俗で稼いだ2億円を溶かした30代女性の後悔

「10年弱で、ざっと2億円はホストに貢いだと思います。『担当』からは、DV受けたりして切れちゃったんですけど」

カルティエのピアスに、ロエベの長財布、100万円を超えるオーダーメイドのエルメスのバッグーー。取材に応じてくれたアオイ(仮名・30歳)は、全身にハイブランドを散りばめながらも、「冷房がきついから」とキャラ物のパーカーを羽織る。その不揃いな着合わせが、あっけらかんとした雰囲気を醸し出していた。

これまでホストに何億も貢いできた人がいるーー。そう知人に聞いて、つないでもらったのがアオイだった。

数年前から、大久保公園の街娼(立ちんぼ)や海外出稼ぎをはじめ、春を売る若い女性の報道が加熱して、社会問題として取り沙汰されているのを見聞きした人も多いだろう。

そして、身を売る女性たちの多くが、売春で得た稼ぎをホストクラブなどで散財しているのも、よく聞くストーリーだ。夜の街で若い女性が翻弄されていく姿は漫画・ドラマの題材として扇情的に昇華されているが、やはり気になるのは「なぜそこまでカネをホストに費やすのか」という点だった。

約2時間にわたるアオイさんへの取材を終え、テープレコーダーのスイッチを切ったものの、結局彼女が2億円も貢いできた所以はなんだったのか、その核心には靄がかかっていた。どこか決定的な要因があるわけでもなければ、筆者の理解が及ばなかっただけかもしれず、単に彼女が触れられたくなかっただけかもしれない。

確かに残っているのは、1500万円の会計が記載された伝票や、壮麗に飾られたブランデーが卓いっぱいに並んでいる写真、担当ホストとのLINEのやり取りなど、虚ろな眩さを放つものばかりだった。

アオイはスマホのカメラロールを遡りながら、自分の気持ちを確認するかのように記憶を辿る。

「これまで使った金額を考えるとバカなことしたなって思うんですけど、お金は風俗ですぐに稼げるからいいんです。

ただそれより、ホストから離れたいま、なんとなく生活にハリがないのが悩みなんです。別にこれは、ホストに未練があるとかではないんです。むしろ担当ホストとは絶縁してますし、いま思い返すとうんざりというか、ほんと洗脳されていた感覚に近いです。

当時は、担当をナンバーワンにするため、朝から晩まで風俗で働いて、出稼ぎなどの繁忙期は生理を止めてまで身体を売り続けてきました。それで月500万~600万円稼いで、その半分以上をホストに費やしてました。

しかも残りのお金も、バースデーやイベントなど高額を使う時のために、ホストに管理されていたんです。要は毎月、彼が私の生活費を管理していたんです。私の月収は500万なのに、ホストからもらっていたおカネは、家賃込みで40万円でしたから。

もう仕事もプライベートも、担当ホストに完全に掌握されていて、いつの間にか担当ありきで自分の生活が回っていたんですよ。担当ホストが好きという以上に、自分でも何しているのか自覚する暇がないぐらいひたすら身体売って、それでホストに注ぎ込んで。激動としか言えません。

結局、ホストからのDVやモラハラが酷すぎて、ようやく時間と金の無駄だと気付いたんですけど、気づいたら30歳になっていました。

だから今は、その反動で、無気力というか、稼ぐ意味も感じられないというか。いまだに風俗やAVの仕事はしているんですけど、稼いだ金を使うアテもないから、スイッチが切れてしまって。

一応、3年で8000万貯めてマンションを買おうと考えたり、ジュエリーやネイルサロンの経営を始めたりして、いろいろ奮い立たせてはいるんですけど、ホストに通っていた頃の熱量はないですね。ホストのせいで人生の歯車が狂っちゃいました。

だからせめて、過去の私のように、若い女の子で搾取されている人がいたら、目を覚まして欲しいなと思って。それで今回、取材を受けたんです」

「もう覚悟の上ですから」と、アオイは明け透けに、海外出稼ぎ中に空港で逮捕された過去や、ホストからコロナ禍の持続化給付金の詐欺に加担させられそうになった逸話を打ち明けた。それほどホストに入れ込み、2億円もの大金を費やしたのはなぜだったのか。