マイナー競技なのに「史上初のメダル」を5連発…日本が「フェンシング強豪国」に変貌した知られざる理由

AI要約

競技団体の力が今後のオリンピックで重要になる可能性が高い

日本代表の団体競技が64年ぶりに4強に入れなかった背景を考察

日本の球技が世界の頂点を目指すためにはどんな取り組みが必要か

今後のオリンピックで、日本代表がより良い結果を出すにはなにが重要なのか。ジャーナリストの島沢優子さんは「今回のパリ大会では解説者が『世界各国における選手ごとの差がなくなってきた』と語る場面が多く、選手の力の差はなくなりつつある。そのため、今後は強化や代表チームのマネージメントを担う『競技団体』の力が勝敗を分けるようになるのではないか。競技団体の影響力を知るためには、フェンシング代表のメダルラッシュをひも解く必要がある」という――。

■64年ぶりに団体競技で4強に入れなった日本

 今回のパリ大会において、海外開催の五輪では過去最多となる45個(金メダル20個、銀メダル12個、銅メダル13個)のメダルを獲得した日本選手団。男子種目が24個、女子が18個で、バドミントン混合ダブルスなど混合種目が3個だった。そして、実は45個すべてが個人競技だった。

 サッカーは男女とも予選ラウンドを突破するも準々決勝で惜しくも敗れ、前回銀メダルの女子バスケットボールは予選ラウンドで優勝国アメリカを苦しめたものの、その後の試合は主力選手を脳震盪(のうしんとう)で欠くなどの不運もあって予選敗退。男子も銀メダルを獲得したフランスに残り10秒までリードするなど大接戦を演じた。男子バレーボールもイタリアにフルセットの末に沈んだ。

 結果、団体競技(団体球技)は1960年ローマ大会以来64年ぶりに4強以上はゼロに終わった(図表1参照)。女子サッカー日本代表で主将を務めた熊谷紗希は日本のメダルラッシュを喜びつつも「自分たちだけじゃなく、球技のチームが勝てなかったのは悔しかった」(東スポWEB/8月16日より)と無念さを滲ませた。

 球技(ボールゲーム)は体格に劣る日本人にとって不利な要素が多い一方で、日本はバレーで多種類のクイックを発明したり、女子バスケットで3点シュートを磨いて対抗したりと創意工夫を重ねながら世界と戦ってきた。そもそも、ほとんどの球技が五輪出場枠12カ国と狭き門。出場しただけでも評価されるべきだろう。選手は十分頑張ったし、コーチ陣、スタッフは寝食を忘れてエネルギーを注入してくれたことはすでに多くの記事で報じられている。そのうえで、今後日本の球技が世界の頂点へと昇り詰めるために今後は何が必要なのだろうか。