「ピークは1年前か」維新、大阪でも人気急落で市長選完敗 「兵庫の斎藤知事、なんとかしろ」の声

AI要約

大阪府箕面市長選挙で、大阪維新の会が擁立した現職の上島市長が大敗し、維新が公認する現職の首長が大阪府内の選挙で初めて落選する結果となった。

維新の支持急落が箕面市長選挙で実感され、斎藤兵庫県知事への批判も維新支持の影響を受けていると指摘されている。

上島市長の失言や地元での失策も影響し、維新支持者が維新の政策で生活が改善した実感を持てず結果に反映されたとの意見がある。

「ピークは1年前か」維新、大阪でも人気急落で市長選完敗 「兵庫の斎藤知事、なんとかしろ」の声

「もう完敗だと思います。箕面市長選挙、完敗」

 そう険しい表情で話したのは、大阪維新の会代表でもある、大阪府の吉村洋文知事だ。

 8月25日に投開票があった大阪府箕面市長選挙で、維新が擁立した2期目を目指す現職の上島一彦市長が、無所属の原田亮氏に約1万4千票の大差をつけられて大敗。維新が公認する現職の首長が、大阪府内の選挙で落選するのは初めてのことだった。

■「維新人気の急落を肌で感じた」

 箕面市長選告示日の8月18日朝、吉村知事は上島氏とともにいた。

 マイクを握る吉村知事は上島氏の市長としての実績を強調。

「ぜひ、上島さんに2期目の市長を」

「マスコミは何かあれば維新を叩きますが、万博もあります。頑張ります」

 と訴えた。

 これまで吉村知事が選挙応援に入ればどこも聴衆であふれ、歓声がわきあがった。だがこの日は、猛暑とはいえ拍手はまばら。上島氏が市民に握手を求めて歩いても、反応は鈍かった。

 わずか1年数カ月前、維新は23年の統一地方選で、大阪府知事選、大阪市長選をはじめ関西圏で圧勝。関西以外へも支持を広げて躍進した。

 だが、維新の国会議員は、

「1年前がピークだったのかな。今年に入って維新が候補者を出している選挙は結果が出ません。箕面市長選を見ていて、維新人気が急落していることを肌で感じました」

 と打ち明ける。

 今年になって、大阪府では大東市長選で維新候補が落選。河内長野市長選では吉村知事の出身地にもかかわらず、候補者の擁立もできなかった。

 現職を失うわけにいかない箕面市長選では、吉村知事が2度、3度と現地入り。上島氏と一緒に繁華街を練り歩く「桃太郎」戦術にも参加して支持を訴えるほど力を入れた。

 だが、そこで飛んだ声は兵庫県の斎藤元彦知事に関する維新への批判だった。

■「斎藤さん、おかしいんじゃないか」

 内部告発によってパワハラや「おねだり」などの疑惑が明らかになり、ネットで炎上が続く斎藤知事。21年7月の兵庫県知事選では、維新は斎藤氏を支援し当選させた。自民党も斎藤知事を支援したが、吉村知事が繰り返し応援に入ったこともあり、斎藤知事は「維新の知事」というイメージが強い。兵庫県議会で、維新は今も知事与党で、斎藤知事の疑惑を追及する文書問題調査特別委員会(百条委員会)の設置にも反対していた。

 吉村知事は、

「桃太郎で入ったとき、(市民から)『維新を応援しているんだけど、斎藤さん、おかしいんじゃないか』と言われました」

 と、斎藤知事の問題が箕面市長選や維新の支持急落に影響しているという見方を示した。

 実際、記者が箕面市に選挙取材に入ったときも、

「維新はしっかりせえ、斎藤知事、なんとかしろ」

「斎藤知事の擁護ばかりしてるぞ」

 と声をあげる人がいた。

 斎藤知事は8月30日の百条委員会で証言する予定だが、これについて日本維新の会の馬場伸幸代表は26日に、

「普通の国民の方が斎藤知事の話を聞いて、なるほどそうだったのかと思う中身かどうか、我々も見させていただきたい」

 と述べ、斎藤知事の証言内容次第では、党として「辞職」を進言する可能性を示唆した。

■「維新で生活がよくなった実感はない」

 一方、箕面市長選で初当選した原田氏の陣営からは、

「維新が地元で失策続きであることも有利に働いた」

 という声があった。兵庫県知事だけが維新の敗因ではないということだ。

 今年6月、上島氏は地元の共産党の市議に、

「万博行くなよ」「出入り禁止や」

 と発言していたことが判明し、問題になった。

 当初、上島氏は発言を「撤回しない」としていた。しかし、吉村知事が「問題がある」と指摘すると、即座に「撤回をする」と二転三転。それが市民の反感を買うことにもなった。

 これまで維新を支持してきたという箕面市民は、こう話す。

「維新が大阪で勝つようになって期待していた。だが、現実として、維新のおかげで給料がアップしたとか、生活がよくなったとかの実感はない。上島氏のように上から目線の発言のようなこともあり、それが市長選の結果になった」