深川通り魔殺人 薬物乱用者の犯行 警視庁150年 71/150

AI要約

1981年6月17日、東京都江東区の商店街で起きた深川通り魔殺人事件について述べられている。

事件では元すし店従業員の男が母子6人を襲い、4人が死亡し、2人が重傷を負った。

犯人は薬物乱用者であり、無期懲役の判決を受けた。

深川通り魔殺人 薬物乱用者の犯行 警視庁150年 71/150

昭和56年6月17日、東京都江東区の商店街で白昼、元すし店従業員の無職男=当時(29)=が、商店街を歩いていた母子ら6人を襲い、女性を人質に飲食店に立てこもる「深川通り魔殺人事件」が起きた。

男はベビーカーに乗っていたわずか1歳の男児を真っ先に狙い、刃渡り約30センチの柳刃包丁で数回刺し、母親と3歳の女児もめった刺しにした。

飲食店に立てこもった約7時間後、人質の女性が隙を見て逃げ、すし職人にふんした警視庁捜査1課特殊班の捜査員が突入して男を確保。連行時、男は自殺防止の猿ぐつわをされ、下半身はブリーフ1枚という姿だった。

男はすし店への再就職を断られた直後の犯行で、「幸せな子供を見て鬱憤晴らしのためにやった」と供述。母子ら計4人が命を落とし、女性2人が重傷。人質の女性も背中に30カ所以上の刺し傷を負うという凶悪な犯行だったが、逮捕後の薬物検査で、男の尿から覚醒剤反応が検出。裁判では男の責任能力の有無が争点となった。

精神鑑定結果などから、犯行時の心神耗弱が認定され、57年12月、東京地裁は男に無期懲役の判決を言い渡し、58年1月に刑が確定した。

56年6月19日付『サンケイ』夕刊によると、51年から56年5月末までに覚醒剤常用者が起こした殺人事件(未遂も含む)は126件に上ったという。通り魔事件も頻発し、対策が閣議でも取り上げられるなど、薬物乱用者による事件が社会問題となった。(外崎晃彦)