衝撃に弱い「携帯用扇風機」もし落下させてしまったら? 火災、発火など「製品事故」防ぐ“チェックポイント”

AI要約

携帯用扇風機に内蔵されたリチウムイオン電池が熱や衝撃に弱いため、破裂や発火の危険性があることに注意が必要。

NITEによると、携帯用扇風機の製品事故が増加しており、安全を考慮した使用と注意が重要。

特に充電時に異常発熱が起こりやすいため、充電時の注意と異常時の対応が重要。

衝撃に弱い「携帯用扇風機」もし落下させてしまったら? 火災、発火など「製品事故」防ぐ“チェックポイント”

夏の厳しい暑さが続く中、体を冷やすウエットシートやスプレー、水にぬらすと冷たくなるタオルなどさまざまな“暑さ対策グッズ”の進化も目覚ましい。

そんな対策グッズで、特に目にすることが増えたのは「携帯用扇風機(ハンディファン)」だろう。2019年頃から若者の間で流行し、最近では普及が加速している。

しかし、そんな携帯用扇風機には、強い衝撃を与えたり高温の中に置いたりすることで、破裂や発火という重大な“製品事故”が起きる可能性があるとして、経済産業省所管の独立行政法人「製品評価技術基盤機構」(NITE)では注意を呼び掛けている。

携帯用扇風機の多くは、スマートフォンやパソコンのバッテリー、モバイル充電器などにも使用されている「リチウムイオン電池」が内蔵されている。小型で大容量の電力を蓄えることができるリチウムイオン電池は便利な一方で、衝撃や熱に弱いという特性を持っている。

リチウムイオン電池の内部は電解液という可燃性の液体で満たされ、プラス極とマイナス極がくっつかないようセパレーター(絶縁膜)が設置されているのだが、落下など強い衝撃が与えられて電池内部が損傷したり、直射日光が当たり続けるなどして電池内部が高温になったりすると、破裂や発火を起こす危険性がある。

NITE製品安全広報課の課長・宮川七重氏は「落下の衝撃や高温下での異常な反応で電池内部が壊れ、ショートして煙を吹いたり、燃えたりするような事故が実際に起こっています」と話す。

携帯用扇風機の普及しはじめた2019年度から昨年度までの5年間に、NITEには51件の製品事故の報告があったという。事故の内訳は、火災22件、発火9件、発煙15件、破裂2件、異常発熱3件だ。

万が一、落下などによって“強い衝撃”を与えてしまった場合、どうすればいいのだろうか。

宮川氏は「安全を考えると使用中止が一番」としつつも、「実際問題、一度落としたくらいで使用をやめろと言うのは難しい」として、次のように説明した。

「落としたからといって全ての製品が壊れてしまうわけでも、全ての製品が発火するわけでもありません。熱や衝撃に大変弱いことがわかっているからこそ、製品自ら動作を止めるなどの安全機能がついている製品もあります。これを踏まえて、まずは丁寧に扱うこと、その上で自分のものは大丈夫か、異常がないか、“観察”していただくことが大切です。観察の結果、少しでも異常を感じた際には、すぐに使用をやめてメーカーや販売店に連絡するようにしてください」

具体的には、周りに燃えやすいものがない場所に置き、落とす前よりも発熱していないか、製品本体が “ぷくっと”膨れていないか、異臭がしないかなど、しばらく様子を見ることが必要だという。

そして宮川氏は「特に注意するべきは、充電する時です」と強調する。

「充電中が一番電池に負荷のかかっている状態なので、ちょっとした電池内部の破損など不具合が顕在化しやすいです。落とした後に充電するときは、可燃物が近くにない状態で充電してください。

寝ている間に充電しておくという人も多いと思いますが、できれば起きているときに、異常が起こらないか定期的に確認しながら充電していただけるとより安全です。

また、少しでも異常を感じたら、空のクッキー缶など燃えない容器に入れて保管することが望ましいです」