「イーロンは間違っている」「リストラが続くやり方では絶対にうまくいかない」元Twitterジャパン社長が語った「アメリカ型経営の限界」

AI要約

元Twitterジャパン社長がイーロン・マスクとの経験を語る。イーロンの決断力と自己信念、経営者と現場の乖離について。

イーロンの周囲の人々が求めた提案と、元社長がイーロンに進言する選択の背景。

経営者としてのイーロンの価値観と元社長の意見の相違、リストラの難しさについて。

「イーロンは間違っている」「リストラが続くやり方では絶対にうまくいかない」元Twitterジャパン社長が語った「アメリカ型経営の限界」

〈「自分には能力がなかった」どれだけ助言をしてもイーロン・マスクは聞く耳持たず…元Twitterジャパン社長が語った「退職の真相」〉 から続く

「経営者と現場の乖離があまりにも大きすぎる。この20年ぐらいで特にアメリカで進んでいる状況ですが、これは問題だと思います」――元Twitterジャパン社長が、世界的経営者イーロン・マスク氏と働いて感じた「アメリカ型経営の限界」とは? 新刊『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/ 前編を読む )

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 イーロンのまわりの人たちは、実はけっこう私に気を使ってくれました。評価してくれていたのかはわかりませんが「もう一度イーロンと話してみたら?」と提案してくれたんです。「イーロンは決断を変えることがあるから『残ってくれ』という話になるかもしれないよ」と。

 でも私は、一度決めたら前に進むしかないと思いました。後ろを振り向くのが嫌だから、イーロンに撤回を頼みたくはなかった。そうしてしまうと「イーロン教」に入ったことになる。洗礼を受けてしまうことになる。だから私の中では、すごく偉そうに言うと「イーロンにゴマをする必要はないな」と思ったのです。

 もしイーロンが私を必要として「どうしてもやってほしい」ということだったら喜んでやります。でも、今のイーロンのやり方では絶対にうまくいかないと思っていました。だから私は抜けてしまった。

 仮にTwitterにいたところで、何もできないと思うのです。「こうやるべきだ」という彼の価値観と、私の考え方は相反している。

 どういう人を残して、どういう人は辞めてもらったほうがいいのか。そういう細かい話を彼はしたくない。そういうスタンスです。ならば、誰に辞めてもらうのか、選ぶのは任せてほしいとも思っていましたが、そこは任せられないという。

 意味のわからないリストラが続く状態では、誰もうまくやっていける人間はいないわけです。大本を直さないと、絶対に直らない。同じことを繰り返していくだけです。