オリンピックへの反応でわかる日本人の「残念な国民性」…成功には厳しい、独特の視線

AI要約

パリオリンピックの開会式は、賛否が渦巻いたが、フランス国民の大多数が成功と評価した。

演出にはセリーヌ・ディオンやリムKなどが登場し、物議を醸す要素もあったが、議論を活発化させる芸術的な表現が特徴的だった。

フランス人は芸術に対して保守的でありつつも、独創的な表現を受け入れる文化を持っており、議論を通じて成長していく姿勢が見られる。

オリンピックへの反応でわかる日本人の「残念な国民性」…成功には厳しい、独特の視線

パリオリンピックの開会式は、賛否が渦巻いたが、興味深いのは、母国フランス国民の反応で、「パリ五輪の開会式は成功したと判断できますか」というメディア上のアンケートに、18歳以上の回答者の86%が「成功した」と回答したことだ。「とても成功した」が44%で、「成功した」が42%。否定的だったのは14%で、「成功してない」が9%で、「まったく成功してない」が5%。

開会式はセリーヌ・ディオンやレディー・ガガが登場し、フランスの人気歌手ジュリエット・アルマネや、ラッパーのリムKもパフォーマンスした。しかし、ヘヴィメタルバンドのゴジラとコラボした、オペラ歌手マリーナ・ヴィオッティは、マリー・アントワネットの処刑を思わせる、生首を持って歌う演出が物議を醸した。

ほか、ドラッグクイーンらの集まりは名画「最後の晩餐」を思わせ、ギリシャ神ディオニュソスに扮した裸の歌手など、異色の演出には世界中から賛否が飛び交った。

フランス語の意見をSNSで見回って見たが、たしかに好意的な意見が多い印象だ。日本でたくさん見られる「平和の祭典に合わない」、「子どもに見せられない」といった声は少数。アンケートについては「開会式の演出に問題があると思ったか、という質問なら割合は変わったはずだ」との指摘はあったが、21年の東京五輪では、同じ質問で日本の人々の約56%が「失敗だった」と答え、逆に「成功だった」が約18%しかいなかったこととは対照的だ。

フランスのスポーツ紙レキップなどで編集者を務め、日本旅行経験も豊富なエリック・ベルナール氏に話を聞くと、「面白いデータを出しましょう」と言われた。

「フランスで、東京五輪の開会式の成功を聞いたアンケートでは、日本の人々と違って78%の人々が、成功したと答えていました。もともとフランス人は開会式に好意的なのです。言っておきますが、フランス人はとても保守的で、変化が苦手です。でも、芸術と文化の国だという誇りが強いので、独創的で大胆な表現を受け入れる傾向があるんです」

討論番組が大人気であるフランスは、人々が議論好きで知られるため、この開会式に関しても議論自体は活発だが、「こうして世界中で賛否が飛ぶようになっていることにも、恥とは思わず、議論になるからこそ発展できる、と前向きにとらえる感覚がある」とベルナール氏。

「フランスでは、優れた芸術は登場時には物議を醸す、という言葉がよく聞かれます。こういう話題には、ボヘミアン・ラプソディの例え話も良く出ますよ」

説明するまでもない、ロックバンドのクイーンが75年に発表した代表曲、ロックとオペラを融合した革新的なナンバーだ。

「大ヒットした曲ですが、当時の評論家は批判も多く、曲が長いとか実験的すぎるとか、オペラ的パートは奇妙で、歌詞も難解だと言われました。でも、いまでは芸術性の高い世界的な名曲として知られています。パリ五輪の開会式も、芸術的な大胆さがあり、伝統と現代的、文化と革新が融合しています。混乱する人がいても、オリンピックの式典はこういうものがあっても良い、という新たな道を開けました。今日物議を醸しているものが、明日には大絶賛となる可能性があるということです」