交通事故でけが人の数を勝手に減らす 巡査長「早く処理したかった」

AI要約

福島県警の高速道路交通警察隊の男性巡査長が交通事故の負傷者を無視して処理し、停職処分を受けた。

巡査長は報告書に虚偽の情報を記載し、事件の重要な事実を隠蔽した疑いが持たれている。

県警は不正行為を知った被害者側の再捜査を受け、関係者に業務指導や口頭注意を行った。

交通事故でけが人の数を勝手に減らす 巡査長「早く処理したかった」

 福島県警は31日、交通事故の負傷者2人のうち1人をなかったことにして事件を処理したとして、高速道路交通警察隊の男性巡査長(38)を停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。県警は巡査長を同日付で虚偽有印公文書作成・行使容疑で福島地検に書類送検した。

 県警によると、巡査長は田村署小野分庁舎で勤務していた2020年1月2日、福島県田村市内で起きた乗用車同士の追突事故をめぐり、追突された車の運転者と同乗者の計2人がけがを負ったのに、同乗者のけがは「なし」とする報告書を作成、上司に提出した疑いがある。巡査長が現場に着いた時、同乗者はすでに救急搬送されて事情聴取できなかったという。巡査長は「早期に事件を送致したかった。未処理として残したくなかった」と説明しているという。

 24年3月、このことを知った被害者側が県警に再捜査を求めて、不正が発覚した。

 県警は当時の小野分庁舎所長に業務指導、田村署の課長、同分庁舎の課長代理だった2人を本部長口頭注意とした。県警の若田英本部長は「公務の中立公正性を著しく害する言語道断の行為。再発防止と信頼回復に全力を尽くす」とするコメントを発表した。(波多野陽)