サイバー捜査の腕磨け 福岡県警が競技会開催し、暗号資産追跡など実践的問題に挑戦

AI要約

福岡県警が第5回「サイバーセキュリティ競技会」を開催し、捜査員が現場で通用する知識や技術を競い合った。

競技会では暴力団対策部が優勝し、サイバー犯罪対処能力向上の重要性が示された。

サイバー犯罪は増加しており、県警は職員の能力向上を強調している。

サイバー捜査の腕磨け 福岡県警が競技会開催し、暗号資産追跡など実践的問題に挑戦

インターネットを使った犯罪が増える中、福岡県警は第5回「サイバーセキュリティ競技会」を開催した。県警各部と署から計47チーム139人の捜査員が参加し、現場で通用する実践的な知識や技術を競い合った。今年の優勝チームは暴力団対策部、準優勝は久留米署、3位に直方署が続いた。連覇を狙った刑事部は4位に敗れた。

「よし、わかった!」

パソコン上で出題される問題に向き合っていた警務部の1人がスマートフォンで解答の糸口をつかむと、同じチームの2人と情報を共有し、正解を手繰り寄せようと奮闘していた。

競技会で出題される問題は20問。1時間以内に何問解答できるかを競う。今年の問題は「不正アクセスの痕跡」「ZIPファイルの解析」などのほか、増え続ける暗号資産を悪用する犯罪に対応するため、暗号資産から被疑者を割り出す問題も出された。

作問の意図について、サイバー犯罪対策課の的野史孝次席は「現場ですぐに通用する問題にこだわった。日々進化する環境に対応するため、サイバー犯罪対処能力をアップデートしていきたい」と説明した。

サイバー犯罪は増加の一途をたどっており、捜査員の能力向上は待ったなしの状況だ。県警が令和5年に検挙したサイバー犯罪は513件と前年よりも150件以上増えた。特にインターネットバンキングを悪用した不正送金は前年の14件から174件に、被害額も約2億1850万円と10倍以上に急増し、過去最悪となった。SNS型投資、ロマンス詐欺などの犯罪も増えている。

岩下剛本部長は訓示で「もはやサイバー犯罪というレベルを超えて捜査などの警察活動に不可欠な要素になっている。職員1人ひとりの能力を高めなければならない」と強調した。