山形で線状降水帯発生 予測間に合わず 河川氾濫、田畑に濁流

AI要約

山形県を中心に東北の日本海側で25日、線状降水帯が発生し大雨となり、河川の氾濫や土砂災害、田畑の冠水が相次いだ。気象庁の予測外であった今回の豪雨は、日本海沿岸に局所的な豪雨をもたらす気象条件から引き起こされた。被害は深刻で、農業被害も多数報告されている。

山形、秋田で局所的な豪雨が発生し、自治体は緊急安全確保を宣言。現地では1時間86ミリの雨量を観測。気象庁は同様の気象状況が7月末まで続くと予想し、30日まで大雨警報が出る可能性があると警告している。

豪雨により、農作物にも大きな影響が出ており、農家たちは被害に悲しみを覚えている。山形県真室川町の農家は水田の流失に困惑し、サトイモが脅かされている様子が伝えられている。

山形で線状降水帯発生 予測間に合わず 河川氾濫、田畑に濁流

 山形県を中心に東北の日本海側で25日、線状降水帯が発生するなど大雨となり、河川の氾濫や土砂災害、田畑の冠水が相次いだ。同県酒田市では1時間雨量が観測史上最多の86ミリを記録。気象庁は今回、線状降水帯の発生を予測できなかった。秋田県では工事現場で土砂崩れがあり、男性1人が巻き込まれた他、スイカ畑が冠水するなど深刻な農業被害も出ている。

 山形、秋田で局所的な豪雨となり、酒田市など4市町は緊急安全確保を発令。午後5時現在、酒田市で1時間86ミリを観測した。

 今回の豪雨について同庁は、日本の南に張り出した太平洋高気圧の西側から暖湿気が九州を縦断しながら北上、海面水温が平年を上回る日本海で水蒸気を吸収し、東北にかかる梅雨前線にぶつかって山形を中心とした日本海沿岸に局所的な豪雨を降らせたと分析。この気象条件が7月末まで続くとし、東北では30日まで警報級の大雨が降る可能性があると予想。自宅周辺に斜面がある場所では自主的な避難を呼びかけた。

 12時間雨量が290ミリを超えた山形県真室川町で、サトイモを約4ヘクタール生産する佐藤春樹さん(43)は「近くの川があふれ、辺り一面水に漬かった。一部の水田は川の流れで削られている」と大雨の脅威を語った。

 サトイモは昨年、干ばつで不作だった。「ここまで順調に育っていただけに……。身の安全も危なく、畑に見に行くことはできない」と不安がった。

 同町で農家民宿を営む、大沼希代子さん(69)は「自宅は助かったが、両隣は床下浸水している。約40年前にこの地域に嫁に来たが、こんなに大雨が降ったのは初めてだ」と驚いていた。

 山形県酒田市で豚肉加工を手がける安田畜産は加工場の前にある用水路が冠水し、駐車場が水浸しになる被害が出た。車両を移動させるなど対応を取るが「被害がどこまで広がるかはまだ分からない状況だ」(同社)。

 25日の豪雨で河川や水路が氾濫し、収獲を控えていたスイカなどが濁流に漬かった。

 秋田県横手市雄物川町の農家、辻田与五郎さん(79)は「小玉スイカの収穫が終わり、大玉の収穫を控えていたところに豪雨。畑が冠水し、全滅のところもある」と嘆いた。「ダムの水が放流され、これから避難しなくてはならない。避難所に何を持っていったらいいのか、これからどうしたらいいのか」と頭を抱える。

 由利本荘市とにかほ市では、川の水があふれ、農地や家屋に被害が出た。豪雨被害災害対策本部を設置したJA秋田しんせいによると、25日午前11時現在、水稲1100ヘクタール、大豆とソバ30ヘクタールの計1130ヘクタールで冠水などを確認。園芸品目も含め、被害はさらに広がる見通しだ。